──Awwの事業内容を教えてください。
ジューストー沙羅(以下、沙羅):AIバーチャルヒューマンカンパニーとして、テクノロジーを基盤にしながら、テクノロジー×アート、テクノロジー×クリエイティブといった領域を掛け合わせたIP事業を展開しています。
バーチャルヒューマンの技術を活用し、どのようにしてあたらしいストーリーテリングを生み出し、実社会に実装できるかを追求しています。たとえば、SNSでの活動を始めとしてプロジェクトが多かったのですが、最近は店舗、テレビなどのメディアや空間に、バーチャルヒューマンをどのように組み込めるかを考え、技術とクリエイティブの融合を目指しています。
事業内容としては、大きくわけて3つの軸があって、1つ目が、自社IPの開発と活用です。現在、Awwには13〜14名のバーチャルヒューマンが存在しており、それぞれがファッションモデル、音楽アーティスト、ライブ配信者、ゲーム関連など、多様な分野で活動しています。彼ら彼女らをリアルのタレントと同じようにマネジメントし、ブランドコラボやイベント出演などを行っています。
2つ目は、企業やブランドとのコラボレーションです。たとえば、過去にはディズニーと協力し、バーチャルヒューマンを開発したことがあります。そのほかにも、KDDIや中国・タイの企業と連携し、それぞれの文化や企業特性を反映したバーチャルヒューマンの開発を行っています。このように、各国の文化に適応したあたらしいIPを創出することも、私たちの事業の一環です。
3つ目は、バーチャルヒューマン技術の提供です。Awwはアジアでもトップクラス、あるいは世界最高水準のクオリティでバーチャルヒューマンを制作できる技術を持っています。
そのため、IPの開発だけでなく、「受付や案内業務にバーチャルヒューマンを導入したい」という企業様からの要望にお応えする形で、企業向けに受付スタッフやガイドなど、インターフェースとしてバーチャルヒューマンを活用するソリューションを提供することも増えています。
──これまで数々の企業やブランドとコラボレーションを実現されていますが、その成功の要因はどこにあるとお考えですか?
沙羅:immaがSNSをスタートした2018年には目新しい事業でしたが、現在、バーチャルヒューマンを開発する企業は世界中に多数存在します。そのなかでも、私たちが他社と決定的に異なるのは、単なるCGキャラクターの制作ではなく、「カルチャーに根付いたバーチャルヒューマンIPを作り出す」を生み出していることに専念している点です。
たとえば、単に「可愛いキャラクターをSNSに投稿するだけ」ではなく、キャラクター性があり、メッセージがあり、アイデンティティを持っているキャラクターがリアルな人々との関わりを大切にしているのがAwwの特徴です。
また、その基盤があるなかで、バーチャルヒューマンにしかできないフィクションとリアルの世界をつなげる役目を果たしていることです。当社の代表は映像プロデューサー出身で、クリエイティブ業界に長く携わってきました。ファンやアーティストとのつながりを活かしながら、実際のカルチャーシーンに入り込んで、バーチャルヒューマンがリアルな文化のなかに溶け込めるようにしています。
また、プロデューサーチームも映像やストーリーテリングの分野で長年の経験を持つメンバーで構成されており、リアルなエンターテインメントやアートシーンと連携しながらプロジェクトを推進しています。その結果、世界中のクリエイターや企業から「一緒に何かやりたい」と声をかけてもらえる状況につながっているのだと考えています。
特に、海外のアーティストやブランドからは、「日本発のバーチャルヒューマンが、こんなにもリアルでクリエイティブなカルチャーと結びついている」という点に興味を持っていただくことが多いです。
そもそも、日本はアニメやゲームなどのポップカルチャーが強い影響力を持っています。そこに加えて、Awwのバーチャルヒューマンがリアルな人々と関わりながら、独自のアイデンティティを持って活動していることが、世界のアーティストやクリエイターにとって新鮮に映るのかもしれません。
──バーチャルヒューマンのデザインやコンセプトについて、何かこだわりはありますか?
沙羅:「imma」というバーチャルヒューマンを例にあげると、彼女のデザインには明確なルーツとコンセプトがあります。彼女はピンクのボブヘアが特徴的ですが、このデザインには日本のアニメ文化やストリートファッション文化、や原宿カルチャーの要素が取り入れられています。
海外では「日本らしさ」を象徴するビジュアルとして認識されることが多いです。たとえば、ピクサーのアジア系キャラクターや、日本のファッションアイコンが海外で注目されるのと同じように、ピンクの髪と個性的なスタイルが「日本のポップカルチャー」を連想させるのです。
また、海外では「日本のストリートファッション=原宿」というイメージが根強くあります。そのため、「imma」のデザインや活動スタイルが、海外のクリエイターやアーティストにとっても魅力的に映るのではないかと考えています。