最近「高度デジタル人材」と呼ばれる人材が全世界的に求められている。AIやブロックチェーン、データ分析などを戦略的に活用し、ビジネスの変革やあらたな価値創造まで担える人材だ。それだけ優秀な人材が必要なのは当然だろう。これからの若者は、そうしたスーパー人材にならなければならないということだろうか。

IT化が進行していくなかで、当然だがIT人材の需要は右肩上がりに上昇している。我が国で不足すると見込まれる人数も2030年には45万人に達するとされるが、この人数の大部分が高度IT人材のことを指していると思われる。
プロンプトエンジニアの台頭IT業界を揺るがすあたらしい職業革命
数年前から「プロンプトエンジニア」という聞き馴染みのない職業が、世間で幅を利かせるようになってきた。生成AIに理解のしやすい命令文(プロンプト)を入力することで、より精度の高い成果物を設計、開発、最適化する能力を持つエンジニアのことだ。生成
AIごとの得手不得手を把握しつつ、狙った成果物を得るために、チャート図を設計するかのごとく生成
AI内の思考導線を逆算したプロンプトを考案していく人材は、これからの時代において必要不可だ。一方で、きちんとした完成物納品までの設計プランを構築できるプロンプトエンジニアがいるならば、「コーディングを専門とするコーダー」や、「Webサイトのデザインを行うWebデザイナー」、「UIディレクター」という職業は、すべて生成AIに任せてしまうことができる。設計が完成した後の、最も時間と工数がかかる実装という段階において活躍してきたような人材は、真っ先に首を切られる対象となっていくことだろう。
当然だが、工数が削減されプロジェクトに携わる人頭が激減するわけだから、1プロジェクト辺りに費やされる予算は下がっていく。しかし、これまで1ヵ月10人がかりで回していた100万円の仕事が、1人で回せるようになると考えると、たとえ、予算が50万円に下げられようと利益率は爆増する。もし、予算がそのままなら、1人のプロンプトエンジニアが10本の仕事をこなせば、月の売上1,000万円も現実的となり生産率という観点だけでみれば、劇的なパラダイムシフトが起こってしまうのだ。
これからIT業界を目指す若者はこの前提を踏まえておかなければ泣きをみることになるだろう。