チャールズ・ホスキンソン独占インタビュー | 3つの要点サマリ
1 | 米国規制は“追いつきフェーズ”へ
米国は過去4年、暗号資産業界に敵対的だったが、現在はステーブルコイン法制やMarket Structure Bill、Clarity Actなど大規模な立法プロジェクトが進行し「信頼回復のための法整備段階」に入っている。法律として明文化されなければ、政権交代のたびに方針が揺らぎ、業界が再び不信に陥るとホスキンソンは強調する。
2 | Google提携・量子耐性・AIエージェント経済──Cardanoの戦略軸
Cardanoはプライバシー特化チェーン「Midnight」を通じてGoogle Cloudと協業し、量子コンピュータに耐える次世代ブロックチェーンの共同研究を推進。AIエージェントが検索・広告・商取引を再構築する“次のインターネット”では、データ購入・マイクロペイメントに暗号資産が不可欠となり、DIDや選択的開示技術と組み合わせることで、プライバシーと規制遵守を両立できる基盤づくりを目指している。
3 | 日本市場への期待と、Cardanoの今後10年
日本は税制改革やステーブルコイン/RWA解禁など前向きな状況にあり、大企業の動き次第ではアジア最大級の市場になり得ると高評価。Cardano自身はWorkforce Leiosによる“60倍スループット”やマルチチェーン連携を進め、2035年にはブロックチェーンユーザー10億人超、ビットコイン100万ドル時代を見据え、政治・経済・社会インフラとしての役割拡大を描いている。
「攻撃の4年」から転換点へ──米国暗号資産規制のいまをホスキンソンが語る
──米国では、SEC(証券取引委員会)がCoinbaseやRippleへの訴訟を取り下げるなど、前向きな動きがみられます。また、政府の暗号資産への関与についても議論が進んでいます。こうした状況をどのようにみていますか?さらに、業界が本当の意味で成熟するためには、どのような規制上の課題が残っているとお考えですか?
チャールズ・ホスキンソン(以下、ホスキンソン):現在の米国は「追いつこうとしている」段階にあると考えています。過去4年間、バイデン政権のもとでは、政府全体が暗号資産業界を攻撃し、破壊しようとする姿勢を取ってきました。
主要な取引所は軒並み訴訟を受け、かつては「イーサリアムは証券ではない」と明確にされていた判断も取り消されました。政府は体系的に暗号資産関連企業を標的にし、銀行口座を次々と閉鎖しました。私自身も口座を失い、同様の被害を受けた企業は数十社にのぼります。
さらに、業界の著名人たちも次々と標的になりました。たとえば、Binanceの創業者であるチャンポン・ジャオ(CZ)氏は拘束され、4ヵ月間服役しました。そのほかにも、多くの人物が刑事・民事の両面で追及を受けています。こうした状況は非常に不健全であり、業界全体にとって不快かつ厳しいものでした。
そのため、今も多くの業界関係者が米国に対して強い不信感を抱いています。最大の疑問は、「現在の前向きな姿勢が一時的なものなのか、それとも本当に過去のやり方を改めたのか」という点です。米国が今後、暗号資産ビジネスに適した国となるのかどうかが問われています。
信頼と信用を回復するための唯一の方法は、法律を制定することです。法律として明文化されれば持続性が生まれ、たとえ将来、民主党政権に戻ったとしても、ゲーリー・ゲンスラー氏の時代のように暗号資産業界に逆行する政策を取ることはできません。
現在、米国では大規模な立法プロジェクトが進行しています。第一のステップは、ステーブルコインを「安全な枠組み(セーフハーバー)」のなかに位置づけることでした。なぜなら、ステーブルコインこそが暗号資産市場で最も重要な資産だからです。
次の段階は「Market Structure Bill ※1」です。これは、どの資産が「証券」に該当し、どの資産が「商品(コモディティ)」にあたるのかを明確に定義する法案です。ステーブルコインに関しては、「Genius Act(ジーニアス法案)」の成立によって大きな前進がありました。
この過程では多くの衝突や紆余曲折がありましたが、それらを乗り越えて成果を得ることができました。また、「Clarity Act(クラリティ法案)」も非常に複雑で困難な法案です。多くの要素が絡み合い、調整すべき点も多くありますが、現在の進行ペースであれば、11月までに本格的な審議を経て可決される可能性が高いとみています。
※1 デジタル資産・暗号資産を対象とする市場構造改革法案。米国において、暗号資産市場に対する監督・規制体制を明確化する狙い。特に、SECとCFTCという2つの主要な米国金融規制機関の管轄を改めて定め、重複・あいまいさを減らすことを目的としている。