アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は14日、暗号資産(仮想通貨)プロジェクト・リブラ(LIBRA)を支持する投稿を自身のXにて行った。しかし、リブラの価格はミレイ大統領の投稿後に暴落し、「出口詐欺の疑いがあるプロジェクトを支持した」として、現在波紋を呼んでいる。
リブラはソラナ(SOL)上で構築されたトークンで、ミレイ大統領は「アルゼンチンのスタートアップに投資し、経済の成長を促進するものだ」と紹介していた。なお、かつてFacebook(現Meta)が手がけていたデジタル通貨プロジェクトも「リブラ」という名称で進められていたが、今回のプロジェクトとは関係がない。
すでにミレイ大統領は投稿を削除しており、15日には「自身とプロジェクトに関係性はない」とした上で、「投稿時点でこのプロジェクトの詳細はわからなかった」と述べた。その後16日、アルゼンチン大統領府の管轄下に調査タスクフォースを設置し、リブラの立ち上げや活動に関与したすべての企業及び人物に関する緊急調査を開始している。
大統領府によれば、ミレイ大統領は昨年10月19日、本プロジェクトに関わっているKIPプロトコル社のマウリシオ・ノヴェルリ(Mauricio Novellli)氏らと会談を行なっていたようだ。その後、今年1月にはKIPプロトコルからプロジェクトを進めるインフラパートナーとして、ヘイデン・マーク・デイビス(Hayden Mark Davis)氏を紹介されたという。
一連の会談で、ミレイ大統領はKIPプロトコルなどがアルゼンチンのベンチャー企業に対し、ブロックチェーンを活用して資金提供を行うプロジェクトだと説明を受けていた。このような経緯から、ミレイ大統領はプロジェクトの始動を個人のXを通じて告知したと説明している。
こうした状況下で、KIPプロトコルとデイビス氏はプロジェクトが詐欺的なものであることを否定している。また、デイビス氏は自身とKIPプロトコルの関係者が不正を働くことはないとした上で、ミレイ大統領が騒動後に投稿を削除したことがパニック売りを誘発したとし批判した。