ブロックチェーン分析企業アーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)が11月に暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引所を立ち上げることが明らかになった。ブルームバーグが11日に報じた。
このあたらしい取引所は主に個人投資家にデリバティブサービスを提供する予定であり、アーカムはバイナンスなどの既存プラットフォームと直接競合することになる。アーカムは現在、ロンドンとニューヨークから業務を移転しようとし、事業許可の承認を得てはいないが、ドミニカ共和国のプンタカナで規制当局の認可を取得手続き中であるという。
アーカムは暗号資産市場において、データ分析だけでなく、暗号資産デリバティブ市場でのサービス提供を拡大しており、個人トレーダーの参入も増えている。データによると、暗号資産デリバティブの取引量は9月に3兆ドル(約450兆円)を超え、前年同期の2倍以上に拡大している。
暗号資産デリバティブ市場では、取引商品やプラットフォームの進化に伴い、著しい成長がみられる。この市場のなかには、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)やコインベース(Coinbase)など、世界的に有名となっている取引所もある。
9月下旬、シカゴ・マーカンタイル取引所はビットコイン・フライデー先物(BFF)取引を開始し、2週間の契約の最初の取引日に31,000件を超える契約が取引された。
中小企業向け取引オプションとして開発されたBFF契約は、ビットコイン(BTC)の現行価格の50分の1で取引が可能で、大衆のニーズに応じている。コインベースはそれに対抗し、ビットコインの現行価格の100分の1の価格で取引できる「ナノ」ビットコイン先物契約を導入した。個人投資家が変動するビットコイン価格に投資できる機会を広げた。
さらに、急成長をみせているCrypto.comでは、PEPE(ペペコイン)やFLOKI(フロキ)などの暗号資産をふくむデリバティブ商品も登場している。
2020年に設立された、アーカム・インテリジェンスは、OpenAIの創業者サム・アルトマン(Sam Altman)氏をふくむ投資家から1,200万ドル(約18億円)の資金調達をした。同社はオンチェーンデータ分析により、ブロックチェーン領域においては有名で存在感を増している。ブロックチェーンに関する情報を必要とするアナリスト、ジャーナリスト、調査員、専門家が同社のプラットフォームを利用している。
暗号資産ARKMの価格は上昇
Arkham Analyticsプラットフォームとは別に、同社にはARKMという暗号資産がある。このトークンはここ数週間、不安定だったが、デリバティブ市場への参入を計画しているという報道を受け、1週間で21.2%も上昇した。その後、ARKMの価格は2.3%下落した。それでもアーカムの重要な要素であるARKMの時価総額は現在4億9,300万ドル(約739億円)となっている。
参考:Bloomberg
画像:Shutterstock
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