ブータンが、約103億円相当となる929BTCを暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)に送金したことが判明した。オンチェーンデータサービスのLookonchainがXで明らかにした。
ブータンは現在12,456BTC、9億ドル(約1,370億円)相当を保有する。最高値に迫る勢いをみせるビットコインの値動きを受け、利益確定のための売却へ準備を着々と進めているようだ。ブータンはビットコイン最大保有国の1つに数えられている。
送金は2回にわけて行われた。最初の送金は早朝9時に100BTC、その50分後に839BTCが送金された。この情報はブータンの保有資産を監視するオンチェーン分析プラットフォーム・アーカム(Arkham)により裏付けられている。
ブータンは今年7月に暗号資産取引所クラーケン(Kraken)へ381BTCを預けて以来、ビットコインを暗号資産取引所に送金したのは今回が初めてだ。大規模な送金の理由は公表されていないが、ビットコインコミュニティ内ではさまざまな憶測が飛び交っている。
ブータンは2019年から豊富な水力発電から得られるエネルギー資源を活用し、ビットコインのマイニングを行っている。このクリーンエネルギーを活用したマイニングを国家戦略として実施する取り組みは、世界経済の動向のなかで国家準備金を多様化するという広範な戦略と一致している。
膨大な準備資産となっているビットコインは、国家プロジェクトへの資金提供、流動性の向上、または金融不安時の地域経済の安定化に活用されることが予想される。
人気の暗号資産Xユーザー、Pledditor氏は、「ブータンはビットコインに対して、ナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領率いるエルサルバドルと同じ見識を持っていないようだ」とコメントした。同氏は「エルサルバトルのような長期的な財務戦略ではなく、5年~10年程度の資産運用としてみている」と付け加えた。
ブータンはマイニング事業のほかに、昨年3月16日以来、毎日1BTCを積み上げており、1BTCも売却していなかった。
暗号資産アナリストのなかには、ブータンは市場の動きに備え、あるいは今後のプロジェクトのための流動性を確保しようとしているのではないかと主張する者もいる。また政府が、最近の市場の上昇を機に最大の利益を得ようとしているのではないかと推測する者もいる。
イーサリアムも売却か
ブータンはビットコインに加えて、10月18日に約60万ドル(約9,180万円)相当のイーサリアム(ETH)をバイナンスに送金した。同国が保有するのは残り170万ドル(約2億6,000万円)相当のETHとなった。
こうした動きから、ビットコインに加えイーサリアムも売却する可能性が浮上している。
参考:Lookonchain
画像:Shutterstock
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