創業以来、世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所としての地位を保っているバイナンス(Binance)に異変が起きている。9月、バイナンスの取引量が前月比で20%減少した。その一方で、Crypto.comなどの競合は取引量が40%増加している。
最新のCCDataのレポートによると、バイナンスのデリバティブ取引量は、9月に21%減少して1兆2,500億ドル(約182.5兆円)となり、2023年10月以来の最低水準となった。
この減少により、バイナンスのデリバティブ市場におけるシェアは40.7%に低下し、2020年9月以来の最低水準となった。
また、現物取引も大幅減となっている。22.9%減の3,440億ドル(約50.2兆円)となり、2023年11月以来の最低水準を記録。これによりバイナンスの現物市場シェアは27%に急落し、2021年1月以来の最低水準となっている。
バイナンスの現物とデリバティブをあわせた市場シェアは36.6%に低下し、2020年9月以来の最低水準だ。
こうした取引量の減少にもかかわらず、バイナンスは依然として、中央集権型取引所のなかで、現物取引の取引量では最も多いプラットフォームのままだ。
一方、Crypto.comは中央集権型取引所の中で目覚ましい成長を遂げている。
9月の現物及びデリバティブ取引量はそれぞれ40.2%と42.8%増加し、1,340億ドル(約19.5兆円)と1,490億ドル(約21.7兆円)に達した。
9月の合計市場シェアは11%で、Crypto.comは取引量で第4位の取引所となった。ますます暗号資産取引所による競合が激しくなるなか、Crypto.comのような新鋭の急成長が顕著となりつつある。
しかし、Crypto.comは急成長してはいるものの、中央集権型取引所の全体的な取引量はバイナンスの衰退とあわせて後退している。
現物とデリバティブを合わせた総取引量は、17%減少して4.34兆ドル(約633兆円)となり、6月以来の最低の月間取引量となった。
夏の終わりに取引量は鈍化の傾向
CCDataは、この減少は夏の終わりにかけて取引量が鈍化する傾向があるという季節的傾向に沿ったものであると指摘した。
現物取引量は17.2%減の1兆2,700億ドル(約185兆円)となり、デリバティブ取引は16.9%減の3兆700億ドル(約540兆円)となった。
アナリストらは、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを拡大することで流動性が改善され、暗号資産に流入する資金が増える可能性もあるとみている。今後数カ月で取引量は多くなると予想する。
先月、SEC(米証券取引委員会)はバイナンスに対して修正した訴状を提出した。同取引所のトークン上場状況について調査した。昨年6月にバイナンスが無登録のブローカー、決済機関、取引プラットフォームとして機能し、無登録の証券を提供したとして訴えた後に続くものだ。
これらを解決するためバイナンスは複数の米規制当局に43億ドル(約6,278億円)の罰金を支払い、CEOだったCZ(Changpeng Zhao)氏は辞任した。こうしたアクシデントもプラットフォームの取引量低下につながった可能性がある。
参考:CCData
画像:Shutterstock
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