14日から15日にかけて、暗号資産(仮想通貨)市場は大幅上昇している。ビットコイン(BTC)は前日比約5%、イーサリアム(ETH)も7%ほど上昇した。
上昇の背景には、中国経済の先行きがある。ゴールドマン・サックス・グループは13日、中国が先週末に発表した財政支出の拡大方針を含む景気刺激策を受け、2024年と2025年の同国の経済成長予測を上方修正した。
ゴールドマンはレポートで、今年の中国のGDP成長率の見通しを従来の4.7%から0.2%引き上げ、4.9%に上方修正した。2025年の成長率予想についても4.3%から4.7%に修正している。
ゴールドマンのエコノミストは「中国政府が示した最新の経済刺激策は、当局が循環的な制作運営を転換し、経済重視の方針を強めていることを明確に裏付けた」と説明した。
中国財政省は12日の会見で、地方政府が特別債の発行で調達した資金2兆3,000億元(約48兆円)の活用を第4半期(10月~12月)に容認する方針を示した。
ゴールドマンは「駆け込み」的な公共支出計画につながる措置だと説明し、当初見込んだ以上の景気回復がもたらされるであろうと分析している。
中国経済政策全般の立案を行う国家発展改革委員が先週、来年の投資計画2,000億元相当を、10月に前倒しで承認することを明らかにした。中国は習近平国家主席が経済を軽んじてきた傾向にあったが、ここにきて方向転換した格好だ。
また、JPモルガンのアナリスト、ニコラス・パニギルツォグル(Nicolaos Panigirtzoglou)氏はレポートで、「地政学的緊張の高まりと来たる米大統領選挙は、一部の投資家がいうところの、地下下落取引を強化し、ゴールドとビットコインの両方に有利に働く可能性が高い」と記した。
ゴールドとビットコインは主要経済国における高止まりする政府財政赤字、一部の新興企業市場における法定通貨への信頼の低下、ドルからの幅広い分散化により価格が上昇する可能性が高いとみており、トランプ(Donald Trump)氏の選挙勝利は価格下落取引を強化する可能性が高いと分析している。
超党派の連邦予算委員会の報告書によると、トランプ氏は民主党候補のハリス(Kamala Harris)副大統領が当選した場合に予想される増加率の約2倍の連邦責務を増やすと予測した。
大統領選挙後にビットコイン価格は上昇か
トランプ氏が就任した場合、2035年までに連邦債務は7.5兆ドル(約1,120兆円)増加するが、ハリス氏が当選した場合は3.5兆ドル(約560兆円)の増加と推定されている。
米国家債務は近年増加している。新型コロナウイルスによる景気刺激策により、2024年初めには34兆ドル(約5,100兆円)を超えた。JPモルガンのアナリストはビットコインの価格が先月のFRBの利下げ以来、金利低下で期待されたような急騰はまだみられておらず、それは選挙後に起こると予測した。
一連の報道も暗号資産市場における価格の底上げにつながったものとみられる。
参考:Bloomberg
画像:Shutterstock
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