暗号資産(仮想通貨)取引所Crypto.comは8日、SEC(米証券取引委員会)に訴訟を起こしたことを発表した。Crypto.comは、「暗号資産の未来を守るための訴訟」と主張している。
SECはCrypto.comに対し、「同社のプラットフォームで取引されるトークンは証券に分類される」との理由で訴訟を起こすための通知「ウェルズ通知」を発行している。今回、Crypto.comはそれに対抗する手段として訴訟を起こした格好だ。
Crypto.comは声明で、「SECを訴える決定は、次期政権が米国における暗号資産の発展に建設的で効果的なアプローチをとるという超党派の兆候があるのにもかかわらず、無許可で不当な規制を続けるSECからウェルズ通知が届いたことにのものだ」と言及。
また、「SECの不適切な執行措置は、米国で合法かつ認可された暗号資産ビジネスを運営するプロセスの一部だ。当社が連邦機関を相手に訴訟を起こすのは前例のない動きだが、その機関が私たちの業界に対して取った行動により、ほかに選択肢はなかった」と述べた。
SECに対する訴訟ではあるが、暗号資産に対する反対姿勢を強めるゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長に対する批判とみることもできる。ゲンスラー氏を巡っては、少なくともトランプ元大統領が大統領選に勝利することで解任が確実視されている。
またCrypto.comは、「ほぼすべての暗号資産取引は、その販売方法に関係なく証券取引であるのに対し、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)についてはなぜか証券取引ではないという違法な規則をSECが確立した」と主張。こうした状況から、SECによる規制の適用は恣意的であり、まさに気まぐれであると批判した。
さらにCrypto.comは「SECの権限を超えた、また連邦法に違反する違法行為を阻止することを目指す」と強調し、法廷での徹底抗戦を宣言した。
特定のデリバティブ商品はCFTCが規制
Crypto.comは、CFTC(米商品先物取引委員会)とSECに請願書を提出し、共同解釈を通じて、特定の暗号資産デリバティブ商品がCFTCにのみ規制されることを確認したという。
その上でCrypto.comは、ドット・フランク法に基づく共同ルール制定の請願書を含め、業界に確実性をもたらすために利用可能な規制ツールを使用することを約束しているという。
Crypto.comはすでに金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)に資金サービス事業者として登録されており、40を超える州の資金移動業者ライセンスを保持している。
なお、訴訟中も暗号資産取引所としての営業は続けていくとのことだ。
シンガポールを拠点として2016年に設立されたCrypto.comは着実に成長している。現在はUSD建て市場シェアが急成長しており、同シェアは31%にまで達している。
参考:発表
画像:Shutterstock
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