雒氏はIoliteの単独取材にも応じた。
──いくつかの国内取引所があるなかで、OSLグループはCoinBest社の買収を決めた。いつ頃から買収の話はあったのか?
雒氏:昨年1月頃から話はありました。もちろん我々以外にも声をかけた交換業者はあったかもしれませんが、もともと私たちが富裕層を対象としたOTCサービスに注力していきたいと考えていたタイミングと重なったことも大きいかと思います。
香港ではリテール取引が昨年までできなかったこともあり、OSLグループは機関投資家向けサービスに強みを持っています。そうしたところでノウハウを共有し合い、シナジーが生まれることに期待したいです。
──買収の話が進む過程では業務改善命令も発出された。こうした影響はどこかにあらわれたのか?
雒氏:特に大きな影響はなかったです。むしろそこから関係がより強固になり、より良い体制構築や社内整備に向けて動いています。
──やはりユーザーとしては業務改善命令が出された取引所ということで心象が良くない部分もあるかと思う。社名も変わり心機一転となるなか、挽回に向けたビジョンや施策はあるのか?
雒氏:まずは、私たちが業務改善をやり遂げることだと思います。ご指導いただいた内容は真摯に受け止めており、大変ありがたいご指摘だったと感じています。その上で、優秀な人材を集め強力なチーム作りに取り組んでいます。繰り返しになりますが、まずは社内体制を整えることに注力します。
──業務改善命令とあわせて、IEO業務の業務停止命令が発出されたが、社内体制や当局との調整が落ち着いたタイミングで再びIEO事業に取り組む可能性はあるのか?
雒氏:現時点ではまず体制を整え、業務改善に取り組むことに注力していますが、その時の経営判断次第だと思います。ご指摘を受けたことで慎重に判断していくべき部分について理解を深めていますし、その上でまずは当局とコミュニケーションをしっかりととっていきます。
──会見では現在のサービスを土台として事業展開をしていくことが示されたが、抜本的な見直しを図るものなどはあるのか?
雒氏:抜本的な見直しまではいきませんが、あらたな暗号資産の取り扱いは行なっていきたいと考えています。それが注力していくOTC取引にもつながると思います。基本的には現在のサービスを土台にしつつ、それぞれを強化してニーズに応えていきたいと考えています。
──顧客層にあわせたサービス展開を強調していたことが印象的だが、各種サービスの提供見込み時期はいつ頃か?
雒氏:都度、経営判断をしていくことになるため、現時点ではお答えが難しいです。まずは社内体制をしっかりと整えることが先決となります。
また、業務改善命令を受けている立場からすると、当局とのやり取りもありますしスケジュールを明確にすることは厳しい部分があります。現在はディフェンスを固めている段階ではありますが、いち早くオフェンスに回れるように取り組んでいきます。
──心機一転を迎えるなかで、今後目指していく目標などはあるか?
雒氏:繰り返しになりますが、まずは社内体制を整えていきます。それを大前提として、迅速かつ安全なOTC業務をしっかり拡充していくことが目標となります。個人向けサービスをどれくらい拡充させていくかというのは現在検討段階ですので、まずはいわゆる富裕層向けサービスの展開に注力していく予定です。
画像:Iolite
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