金融庁が、暗号資産(仮想通貨)に関する規制を見直す方針であることがわかった。先月30日、ブルームバーグが匿名の関係者の話として報じた。
暗号資産を現状の資金決済法の枠組みで規制することが適切であるかについて、今後数ヵ月にわたって議論する。
現状、暗号資産を巡っては投資目的で取引を行う人が多い。
こうした状況を踏まえ、現行の規制下では投資家保護が不十分であると判断された場合には、金商法(金融商品取引法)の対象とすることも視野に議論を行うことになるという。
金商法の対象となった場合、暗号資産が金融資産としてみなされる可能性が高まるため、税制改正を巡る議論もより加速していくことが期待される。
また、米国におけるビットコイン現物ETFを筆頭に、日本における暗号資産ETFの実現に向けた議論が活性化する可能性もある。
なお、金融庁の関係者は暗号資産を金商法の対象とした場合の影響についてはコメントを控えたようだ。暗号資産関連規制の見直しは冬まで続くという。
業界の悲願である税制改正
暗号資産業界にとって、税制改正は長年の悲願ともいえる。
暗号資産の税制改正を巡っては、これまで業界団体を中心に政府等への提言が行われてきた。その成果もあり、企業などに対する暗号資産関連税制は2年連続で改正されている。
暗号資産税制では、特に個人の取引収益に対する改正が望まれている。
現状、暗号資産取引によって生じた利益は雑所得として扱われ、最高税率は住民税とあわせて55%が適用される。
こうした税金を巡る負担が日本における暗号資産の普及を妨げているとし、業界の内外から株式投資と同様の20%の申告分離課税を導入するよう要望がなされてきた。
金商法の対象となることが暗号資産税制の改正に向けた近道になるとは限らないものの、議論を加速させる起因となる可能性は秘めている。
参考:ブルームバーグ
画像:Shutterstock
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