【NEWS】米FTX、トランプ大統領就任後に債権者に弁済開始か

2025/01/14 17:26 (2025/02/12 16:05 更新)
Iolite 編集部
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【NEWS】米FTX、トランプ大統領就任後に債権者に弁済開始か

段階的な返済

3日、昨年10月に承認された暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの再編計画を発効した。これによって、60日以内に一部の債権者を対象にした弁済が始まることとなる。

初期分配の事前要件を満たす期限は今月20日までであり、返済はそれ以前には開始されない可能性が高いとされている。そのため、次期米国大統領ドナルド・トランプ氏の就任式以降に返済される可能性が高いというのが大方の見立てだ。

すべてのユーザーが請求を完了した場合、FTXは総額160億ドル(2.5兆円)を支払う見込みとなっている。もともとFTXは巨額の資金調達や企業買収を積極的に進め、暗号資産市場で急速に影響力を拡大していた。

しかし内部統制の問題や関連企業との資金のやり取りが不透明だったことが指摘され、最終的には顧客資金の欠損や流動性不足が表面化して破綻に至った。現在の破産手続きでは、FTX及びその関連会社が保有する資産を売却し、可能な限り債権者への返済を進める方針である。 

FTXの再建計画によれば、50,000ドル(約790万円)以下を請求する債権者に現金で最初に返済を受けることとなっており、段階的にすべてのユーザーに返済される予定だ。

最初に50,000ドル以下の弁済を受ける債権者は、本人確認、納税申告書の提出、弁済をサポートするクラーケン(Kraken)とBitGoの利用手続きなどを行う必要があるものの、計画によれば合計で約12億ドル(約1,900億円)が分配される見込みだ。

加えて、同計画では全ユーザーの98%以上が認められた申請資産価値の119%の返済を受けられる見込みである。

160億ドルの行方は

昨年7月のグラスノード(Glassnode)の報告によれば、マウントゴックス事件によって流出したビットコイン(BTC)について、債権者はビットコインの現金化を控え、法定通貨ではなくビットコインでの返済を選択する傾向が強かったという。 

2022年11月の同社の破産申請以降、ビットコインは300%以上の上昇を記録していることから、請求権を持つユーザーからは否定的な意見があがっているものの、請求金額は認められた申請資産の119%相当の現金であり、先述した暗号資産保有者の傾向を鑑みれば、総額2兆円以上の資金が再び暗号資産市場に流入する可能性があることから、資金の動きに注目が集まっている。

FTX破綻の翌月である2022年12月、サム・バンクマン=フリード氏はバハマで逮捕され、米国に身柄を引き渡された。その後、米連邦検察当局やSEC(証券取引委員会)、CFTC(商品先物取引委員会)などから複数の罪状で起訴された。主な容疑は、電信詐欺、証券詐欺、マネーロンダリング、選挙資金法違反等だ。

そして昨年3月、懲役25年の判決を言い渡された。フリード氏の弁護側は、控訴裁判所に再審を求める書類を提出している。

現在、FTXはあらたなCEOとして、破綻処理の専門家であるジョン・J・レイ3世(John J. Ray III)氏が就任し、破産手続きにおいて徹底した内部調査と資産回収を進めている。同社の破綻問題は、依然として業界関係者と投資家の注目を集めているようだ。

参考:発表
画像:Shutterstock

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