イタリア政府が、ビットコイン(BTC)を始めとする暗号資産(仮想通貨)に対するキャピタルゲイン税を現行の26%から42%に引き上げることが16日、明らかとなった。
イタリアの金融ニュースメディア「イル・ソーレ24オーレ」によると、今回の引き上げはイタリアの家族、企業、若者を支援することを目的とし、収入を増やすための取り組みの一環であるという。
現在、イタリアの納税者は「Redditi Persone Fisiche」フォームで暗号資産の保有と利益を報告する必要がある。
提案された税制変更は、来年からビットコインやそのほかの暗号資産から得た利益に高い税率が課せられることになるため、現地のトレーダーや投資家のポートフォリオ管理に影響が及ぶことも考えられる。また、高い税率を回避するために、海外に口座を持つ可能性も出てくる。
イタリアでは2023年に課税制度を導入以降、2,000ユーロ(約324,000円)を超えるすべての暗号資産のキャピタルゲインに26%の税金を課している。42%への引き上げ計画は、イタリアの暗号資産規制に対するアプローチの大幅な転換を示しており、低い税率に慣れていたトレーダーや投資家に影響を与えるものだ。
イタリアの暗号資産への取り組みにおいては、2023年にイタリア中央銀行が支援する研究拠点から支援を受け、イーサリアム(ETH)のスケーリングネットワークであるポリゴン(POL)をベースにしたシステムを開発する企業コンソーシアムがある。
この取り組みは、セキュリティトークンに特化した機関投資家向けDeFiのエコシステム開発に重点が置かれている。
これらの暗号資産税の変更に加えて、イタリアはウェブ税規制を変更する予定だ。
レオ(Maurizio Leo)財務副大臣は、16日の会見で、イタリア政府は財政赤字を削減しつつ、選挙で公約した財源確保の取り組みの一環であると述べた。また、メローニ内閣がビットコインについて「この現象が広がっている」として措置を決めたと述べた。
さらにレオ副大臣は政府が75万ユーロ(約1億2,400万円)の上限や500万ユーロ(約8億3,000万円)の収益制限などの既存の基準を撤廃し、国内で運営されるデジタルサービスからの税金徴収を簡素化する予定であると述べていた。
これらの措置は各国におけるWeb3.0政策とは真逆の方針となり、イタリアからWeb3.0開発者が離れる、あるいは活動が停滞する可能性もある。
日本は雑所得に分類で最大55%
日本では暗号資産のキャピタルゲインについては雑所得に分類されており、住民税とあわせて最大税率は55%と、税率変更後のイタリアよりも高いのが現状だ。これが日本のWeb3.0領域の推進と開発の足枷となっており、海外に優秀なWeb3.0人材が流出している主な原因になっている。
そのため、現在暗号資産をFX取引や株取引と同じように、20%の申告分離課税の対象にふくめるよう、自主規制団体などを中心に要望が出されている。
参考:ilsole24ore
画像:Shutterstock
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