エンタープライズ向けブロックチェーン・コルダ(Corda)を開発する企業R3が、アバラボ(Ava Labs)、ソラナ財団(Solana Foundation)、アダラ(Adhara)の代表者らと、同社への少数株主投資、合弁事業、完全売却の可能性について協議を行っていることがわかった。24日、ブルームバーグが報じた。
R3が開発するコルダは最も多く使用されているエンタープライズ向けブロックチェーンの1つである。R3には、システム上に重要な銀行をふくむ著名な支援者がいる。HSBC、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、バークレイズ、UBS、ING、イタウ・ウニバンコなどが、2017年に1億700万ドル(約162億円)の資金調達ラウンドに参加した。
2018年、R3は外国為替中央清算機関・CLSからさらに500万ドル(約7億6,000万円)調達している。それ以降、正式な資金調達ラウンドを発表していないが、2019年に米リップル(Ripple)社発行のXRPを通じて推定2億4,000万ドル(約364億円)の利益を得ている。
一方、R3は2023年にレイオフを発表。過去数ヵ月で、上級社員数名の退職に伴い、さらなるチーム変更があった。
創業者兼CTO(最高技術責任者)のリチャード・ジェンダル・ブラウン(Richard Gendal Brown)氏は現在、同社でパート勤務の契約形態になっているという。「彼は引き続き、CEOとR3運営委員会の重要なアドバイザーとしての役割を担い、R3の代表としての役割も継続している」と、R3の広報担当者は声明で発表している。
コルダは、60以上のライブソリューションを備え機関セクターで最も多く使用されているエンタープライズ向けブロックチェーンである。これにはスイス国立銀行のホールセール型CBDC(中央銀行デジタル通貨)をホストするSIXデジタル取引所、ユーロクリアのD-FMIトークン化プラットフォーム、担保モビリティ会社HQLAがふくまれている。
担保会社は、BNPパリバ、ドイツ取引所、ゴールドマンサックス、HSBC、JPモルガン、UBSなどの支援を受けている。コルダは初期に保険と貿易金融の分野で大きな進歩を遂げ、各分野で2つの主要なプロジェクトを手がけた。
注目度の高いプロジェクトは閉鎖
ブルームバーグによると、注目度の高いコルダのプロジェクトがいくつか閉鎖されているという。保険コンソーシアム・B3iは2022年に閉鎖され、The Instituteの保険ブロックチェーンイニシアチブ・リスクストリーム(RiskStream)は、大規模な資金調達ラウンドに失敗した後、コルダから方向転換した。昨年は、マルコ・ポーロ(Marco Polo)とコンツアー(Contour)という2つの主要な貿易金融合弁会社が閉鎖された。
こうした状況にあるものの、R3は引き続き主要な新規プロジェクトを手がけている。たとえば同社は最近、UK Financeが主導する英国の大手銀行が参加するトークン化コラボレーション「Regulated Liability Network(RLN)」の主要テクノロジーの1つに選出された。RLNは、従来の金融市場でトークン化を採用するための現在の組織的な取り組みを構成する多くのプロジェクトの1つだ。
同じようなプラットフォームで、プログマ(Progmat)が手がけるブロックチェーンを始めとした最先端技術と金融ノウハウを掛けあわせ、安定したプラットフォームを社会実装することを目指す「プログマ」は堅調に成長し続けている。
プログマはRWA(現実資産)をトークン化する領域においていくつものプロジェクトを進めている。現在は不動産が主流だが、今後は株式や債券、コモディティなどをセキュリティトークン化するプロジェクトも進行している。
参考:ブルームバーグ
画像:Shutterstock
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