米ブロックチェーン企業リップル(Ripple)は10日、暗号資産(仮想通貨)カストディサービス事業に本格的に参入することを発表した。
銀行や金融テクノロジー企業が顧客に代わって暗号資産を保管することを支援するサービスとなり、新機能拡大によりカストディサービスは銀行グレードになった。銀行やフィンテック企業の顧客がデジタルトークンを保管、管理できるようにする一連の機能を拡大する。
これは昨年設立されたリップル・カストディ部門のもとで、リップルがあらたに開始した事業であるカストディへの幅広い取り組みの1つとなる。
リップルは昨年、スイスを拠点とする暗号資産カストディプロバイダーのメタコ(Metaco)を2億5,000万ドル(約370億円)で買収した。今年2月には、スタンダードカストディ・アンド・トラスト(Standard Custody&Trust)を買収することで合意に達し、今回の新サービス提供の準備を進めていた。
新機能には、事前構成された運用及びポリシー設定、リップルのXRP Ledgerとの統合、コンプライアンスを維持するためのマネーロンダリング防止リスクの監視、使いやすく、関与しやすいあたらしいユーザーインターフェイスが含まれる。
こうした動きは、リップルにおける中核の決済事業を超え、多様化することにつながる。リップルペイメントはブロックチェーンに基づくメッセージングプラットフォームであり、銀行がグローバルな分散型ネットワーク内で資金移動の状況に関する最新情報を共有できるようになる。
今回の展開は、リップルが自社のカストディサービスをリップル・カストディという1つのブランドに統合し、コインベース(Coinbase)、ファイヤーブロックス(Fireblocks)など、この分野ですでにサービスを展開している多数の企業と競合する動きとして、リップルにとって重要なものとなる。
急成長するカストディ市場
カストディアンは暗号資産を単に保管するだけではない。支払いや決済、取引、デジタル通貨を規制する国際法の遵守にも貢献する。
ボストンコンサルティンググループは、暗号資産カストディ市場が2030年までに16兆ドル(約2,370兆円)に達すると予想している。
リップル・カストディは今年に入って顧客が前年比250%増加し、20ヵ国以上で事業を展開している。顧客にはHSBC、BBVAのスイス支社、ソシエテ・ジェネラル、DBSなどがある。
リップルの製品担当上級副社長アーロン・スレットハウ(Aaron Slettehaugh)氏は声明で「リップル・カストディは新機能により、安全で拡張可能なデジタル資産のカストディ機能を提供し、急成長中の暗号資産及びフィンテック企業にさらに優れたサービスを提供できるよう機能を拡大していく」と述べた。
参考:リップル発表
画像:Shutterstock
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