20日、ゲーリー・ゲンスラー氏がSEC(米国証券取引委員会)の委員長を辞任することが正式に発表された。ドナルド・トランプ米大統領が大統領就任のタイミングでのゲンスラー氏の辞任は、暗号資産(仮想通貨)関連の規制が柔軟な方向に変化していく可能性を示唆している。
2021年にバイデン大統領によってSEC委員長に任命されたゲンスラー氏は、市場の透明性を向上させるための規制強化を推進した。在任中には特に暗号資産領域に対して厳しい姿勢を取り、多くの企業に法的措置を講じた。こうした強硬姿勢は投資家保護を目的としていたものの、業界からは強い反発を招き、「暗号資産公敵」とまで呼ばれる存在となっていた。
一方で、ゲンスラー氏は市場健全性の強化やコーポレート・ガバナンスの向上、投資家保護に尽力したことは一定評価に値する。しかし、その規制アプローチが暗号資産業界に過度な負担を課したことも事実だ。
次期SEC委員長には、トランプ大統領によってポール・アトキンス(Paul Atkins)氏が指名された。アトキンス氏は2002年から2008年にジョージ・W・ブッシュ政権下でSECの委員を務めた経験を持ち、現在はリスク管理コンサルティング会社のCEOを務める。彼は暗号資産やフィンテックの推進派として知られており、これまで業界の規制緩和を提唱してきた。
アトキンス氏の指名が上院で承認されれば、SECはゲンスラー氏の厳格な規制方針から柔軟なアプローチへと転換する可能性が高く、現在申請中の暗号資産関連のETF(上場投資信託)の承認が進むとの期待が高まっている。
アトキンスの就任に先立って、マーク・ウエダ(Mark Uyeda)氏がSECの委員長代行に就任した。2022年にSECの委員に任命されたウエダ氏は、暗号資産規制の見直しを支持してきた人物である。ウエダ氏は、SECの暗号資産領域に対する過度な規制が業界発展の障害となっていると指摘し、より明確かつ現実的なルールを求めてきた。
アトキンス氏、ウエダ氏両者のSECの重要ポストへの就任により、現在のSECの暗号資産に対するスタンスがどのように変化するのかが注目される。
参考:発表
画像:Shutterstock