SEC(米証券取引委員会)は、資産管理企業フィデリティ(Fidelity)が申請しているイーサリアム現物ETF「Fidelity Ethereum Fund」について、パブリックコメントの募集を開始した。募集期間は21日間となる。
Fidelity Ethereum Fundが承認された場合、Cboe BZX Exchangeに上場する予定だ。
パブリックコメントの募集開始は、上場審査を行う上で重要なステップを意味する。主流の金融資産として暗号資産(仮想通貨)に対する関心の高まりと、規制当局がそれを受け入れる可能性を反映しているともいえる。
フィデリティはSECがビットコイン現物ETFをまもなく承認すると予測し、先月17日にイーサリアム現物ETFの承認を申請した。ビットコイン現物ETFが承認されるとなれば、暗号資産の時価総額2位に位置するイーサリアム(ETH)の現物ETFも承認される可能性が高いと見込んでいる。
米国の遅れを指摘
申請書によると、「ドイツ、スイス、フランス等他国の投資家は、より伝統的な取引所に上場されているイーサリアム現物ETFを利用してエクスポージャーを得ることができている。欧州の投資家は、規制された取引所で取引される商品にアクセスでき、幅広い暗号資産の現物へのエクスポージャーを提供している。一方で、米国市場では同様のアクセス機会が遅れている」と指摘している。
さらに、規制により取引所で取引可能なイーサリアムの現物商品がないため、米国の投資家はイーサリアムへのエクスポージャーを得るための選択肢が限定されることから、高いリスクにさらされていると言及。こうした背景から、イーサリアム現物ETFが承認されることで、投資家は安全に暗号資産にアクセスが可能になると主張している。
また、申請書ではリスク管理においてイーサリアム現物ETFの安全性が強調されている。商品が承認されれば暗号資産領域における投資家への保護が大きく前進することになると説明した。
ブルームバーグのETFアナリストであるジェームス・セイファート(James Seyffart)氏は自身のX(旧Twitter)で「フィデリティのイーサリアム現物ETFの決定まで240日間の時計が動き始めた」と述べた。
最終的な期限は今後数週間以内に決まる見込みだが、SECが判断を延期する可能性もある。
ビットコイン先物ETFと同様、イーサリアム先物ETFについてもすでに承認され取引が開始されている。そのため、ビットコイン現物ETFが承認された後にはイーサリアム現物ETFについても議論が加速するものとみられる。
参考:書類
画像:Shutterstock
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