英賭博委員会(Gambling Commission)はプレミアリーグが推進するファンタジー・フットボールゲームを制作する、NFTスポーツゲームを提供するSorareを、無認可のギャンブルサービスを提供したとして起訴した。
Web3.0のプラットフォームが起訴されるのは初めてで、今後Web3.0企業をどのように扱うのか先例となることが予想される。
Sorareは時価総額43億ドル(約6,100億円)規模で、ソフトバンクなども出資しているWeb3.0プロジェクトだ。英賭博委員会は声明で、
「サッカーをテーマにしたSorare.comというウェブサイトは、英国の消費者に無認可のギャンブルプラットフォームを提供した罪で来週出廷する予定で、賭博委員会が起訴しているこの審問は、10月4日午前10時にバーミンガム治安判事裁判所で行われる。Sorareは、2005年賭博法第33条1項、4項、および第36条3項、3A項に違反し、営業認可を持たずにギャンブルプラットフォームを提供したとして告発されている」と述べた。
仏に拠点を置くSorareは、2018年にニコラス・ジュリア(Nicolas Julia)氏とアドリアン・モンフォール(Adrien Montfort)氏により創業。暗号資産をベースにしたファンタジースポーツのビデオゲームであると自称しており、NFTのコレクターカードの売買が可能なファンタジースポーツゲーム(サッカー、バスケットボール、ベースボール)の運営をしている。
プレイヤーはNFTカードを使って独自のサッカークラブを作り、現金、VIPチケット、サイン入りきっとなどの賞品を競い合うことができる仕様だ。
英賭博委員会は2021年10月、Sorareのサービスがオンラインギャンブルであり、ライセンスが必要かどうかを調査中であると発表していた。
賭博委員会が2005年に設立されて以来、同委員会が起訴件を行使したのは、グレイハウンドレースで八百長をするために犬に薬物を投与した男の不正行為事件の1件のみであり、今回で2例目となる。
Sorareの広報担当者は声明で
「当社は賭博委員会の主張を認識しており、英国の弁護士に異議を主張するように依頼しました。Sorareが英国法の下で賭博サービスを提供しているということは断固として否定します。賭博委員会は当社の事業について誤解しており、賭博法がSorareに適用されるという誤認をしています」と述べている。
世界のクラブと提携
Sorareのウェブサイトによると、プレミアリーグの全クラブやレアル・マドリード、バルセロナ、バイエルン・ミュンヘンなどの欧州の強豪チームを含む、世界中の主要リーグや317のクラブとの提携している。
同社は仏国のストライカーのキリアン・ムバッペ(Kylian Mbappe)氏を起用した広告を通じて自社のゲームを宣伝しており、米国ではNBA(全米プロバスケットボール協会)やメジャーリーグなど名だたるスポーツツームと提携している。これに加えて、プレミアリーグは2023年、Sorareにプレミアリーグ全20クラブの選手のデジタルスポーツカードを販売する4年間のライセンスを付与した。
Sorareのアンバサダーをみれば、セリーナ・ウィリアムズ(Serena Williams)氏、リオネル・メッシ(Lionel Messi)氏といった有名スポーツ選手も名を連ねており、投資企業には、ソフトバンク(Softbank)、アクセル(Accel)、ベンチマーク(Benchmark)が名を連ね、ニューヨークとパリで160人の従業員を雇用している。
Web3.0領域には、現行の法律の範疇では判断の難しい事例があり、対応が急がれるなかで、今回の一件で英国賭博法がWeb3.0プロジェクトのSorareに適応されるか否かは今後を占う上で、非常に重要な事例となるだあろう。
参考:英賭博委員会
画像:Shutterstock
関連記事
ポリマーケットでハリス氏がトランプ氏を圧倒
英政府とイングランド中銀、デジタルポンドに関するプライバシー保護等について言及