2025年、世界各国の中央銀行と商業銀行は、SWIFT(国際銀行間金融通信協会)のネットワークを使用して、デジタル通貨と資産の取引に関する実証実験を行う。SWIFTが3日に発表した。
これは現在、着実に進んでいるデジタル資産の金融システムへの統合における重要なステップとなる。
銀行や資産運用会社は数年前から、債券などの伝統的な資産のトークン化を検討してきた。
デジタル通貨(ブロックチェーンベースのトークン)を使用することで、多くの取引に関与する仲介業者を削除することができ、取引がより迅速、安価、効率的になる。
ブロックチェーンの金融への活用が期待される一方、これまでのところデジタル資産は広範な市場では使われていない。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)は、トークン化された資産の取引を容易にする法定通貨のデジタル版である。金融当局は、ビットコインのような暗号資産(仮想通貨)の実現を可能にした技術の進歩を研究、把握しようとしている。
デジタル通貨決済へ取り組む
世界の銀行業務で重要な役割を担っているSWIFTは、CBDCとトークン化された資産の両方の実証実験に取り組んできた。
テザーのUSDTを始め、現在のステーブルコイン発行会社は民間企業だ。ハッキングなど、万が一のリスクを抱えることも事実である。そのため、公的機関による安定的なデジタル通貨決済を実現すべく、取り組みを加速させる。
SWIFTは3月、現在開発中のCBDCを既存の金融システムに接続するためのあたらしいプラットフォームを立ち上げると発表した。
SWIFTのイノベーション責任者であるニック・ケリガン(Nick Kerigan)氏は、声明で「現在、業界からは、試験段階から脱却し、デジタル資産が実際に動き、相手方がそれに対して実際の現金で支払うことを求める声があがっている。来年、我々は制御された方法ではあるが、その段階に移行することになる」と述べた。
潜在性と期待は大きいものの、市場の断片化が足枷となっており、銀行自身の内部システムの外で進展している取り組みはほとんどない。
同様に、中央銀行は越境決済のためにホールセールCBDCを実験しているがその範囲はいまだ小規模である。
最新のSWIFTのイニシアチブでは、さまざまなプラットフォーム間でさまざまな種類のデジタル資産を組み合わされている。
ケリガン氏は「トークン化された債券取引をうまく取引し、決済するには現金が必要であり、そこでトークン化された現金やホールセールCBDCが役に立つ。送金だけ、または支払いだけでは不十分だ。両方が必要となる」と述べた。
参考:SWIFT
画像:Shutterstock
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