USDTを発行するテザー(Tether)は、アラブ首長国連邦(UAE)のディルハム(AED)にペッグしたステーブルコインを発行する計画を発表した。
UAEの数十億ドル(数千億円)規模の企業価値のあるハイテク企業Phonenix Group PLC、Green Acorn Investments Ltdとパートナーシップを締結して発行される。
テザーはUSDT、EURT、CNHT、MXNT、XAUT、aUSDTのステーブルコインを発行しているが、今後AEDのステーブルコインが加わる。
ステーブルコインはUAE中央銀行が最近発表した決済トークンサービス規制下のライセンスを取得して発行されることになる。
テザーの最新のステーブルコインはUAEディルハムのデジタル表現であり、各トークンは流動性のあるUAEベースの準備金により完全に裏付けられる。
テザーは透明かつ堅牢な準備金基準に準拠しているため、ディルハムにペッグされたすべてのトークンがAEDと同じ価値に結び付けられ、その価値に安定性と信頼性がもたらされることになる。
国際貿易と送金を合理化
ディルハムにペッグしたステーブルコインは、ブロックチェーン技術の透明性と効率性を活用しながら、ユーザーにAEDのメリットをシームレスかつコスト効率良く利用できる手段を提供する。
このデジタル資産は、国際貿易と送金を合理化し、取引手数料を激減し、通貨変動に対するヘッジを提供し、UAEやその他の地域の金融エコシステムで重要な役割を果たすことが期待できる。
テザーCEOのパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏は声明で「ディルハム連動ステーブルコインを開発し、テザーのステーブルコインの選択肢を増やすというこの取り組みを発表できることをうれしく思う」とコメント。
さらに「アラブ首長国連邦は世界経済の中心となりつつあり、当社のディルハム連動トークンはユーザーにとって価値があり、多用途なものになると確信している。国境を超えた支払い、取引、あるいは単にデジタル資産の多様化など、アラブ首長国連邦のディルハムでの安全で効率的な取引手段を求める企業や個人にとって不可欠なツールとなるだろう」と述べた。
ステーブルコインの世界市場は現在1,500億ドル(約22兆円)。USDTだけでも時価総額は1,150億ドル(約1兆6,800億円)を超えており、2028年までに2.8兆ドル(約409兆円)に成長すると予測されている。
アラブ首長国での暗号資産(仮想通貨)の使用は、世界初の独立した暗号資産規制機関である暗号資産規制局(VARA)の設立により、2022年以降飛躍的に増加している。
ドバイやアブダビのような都市で確立された規制環境により、これらの都市は暗号資産とブロックチェーン技術のイノベーション拠点へと変貌を遂げた。
参考:発表
画像:Shutterstock
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