米大統領選挙の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領は16日、Web3.0プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」への支持を正式に表明した。
同社のビジネスモデルは依然として不明だが、分散型の貸借仲介を行うプラットフォームであり、現在のところ、分散型金融(DeFi)プラットフォームのAave上に構築されており、「クレジットアカウントシステム」が主要な要素であるとみられる。
トランプ氏は16日、息子2人や、億万長者の寄付者スティーブ・ウィトコフ(Steve Witkoff)氏をふくむ暗号資産(仮想通貨)事業の関係者とともに、Xのライブ配信で
「暗号資産は我々がやらなければならないことの1つだ」と宣言し、当選した場合、暗号資産の規制について取り組むつもりだと主張した。また、「現在、米証券取引委員会(SEC)は暗号資産に対して非常に敵対的だ。私の姿勢は違う」とも述べている。
同社のウェブサイトには、演壇で演説するバックライト付きのトランプ氏の画像が掲載されており、このプラットフォームには「$WL」と呼ばれる独自の暗号資産があり、
「政府機関や政府職員の直接的な監視なしに、ユーザーが自分の資産を運用できるようにする」ことを目指していると示唆している。
同暗号資産事業におけるトランプ氏の役割や報酬など詳細は明らかになっておらず、同社が提供するサービスや、同社の利益を得るのは誰なのか、トランプ自身や家族がそこからどのような利益を得るのかなどの詳細も記載されていない。
米倫理監視団体は、大統領候補が選挙日の数週間以内にあたらしいビジネスを立ち上げたり、なんらかの形で関与することで生じる潜在的な利益相反が起き得る可能性があるとの見解を述べた。
特に銀行や政府の監視なしに、ユーザーが直接的にデジタル通貨を交換する暗号資産のように、分極化が進み規制もされていない業界ではなおさらであると指摘されているようだ。
ワシントンの責任と倫理を求める市民の会(CREW)の広報担当者は、将来のトランプ政権は暗号資産政策に幅広い影響を与える権限を持つことになるだろうと述べ、トランプ氏自身の暗号資産業界への個人的な関心が国の最善の利益に反する可能性を指摘した。
ビットコインを決済に活用して支持を集める
トランプ陣営の広報担当者は、トランプ氏が再選された場合、ワールド・リバティ・ファイナンシャルにおける同氏の役割が倫理的なジレンマを起こす可能性を否定した。
実際、トランプ大統領が初めて大統領選挙に出馬したとき、トランプ氏は非常に成功し利益を上げていた事業から手を引いた過去がある。その理由についてトランプ氏は「アメリカを救うという仕事が最も重要な仕事だからだ」と当時述べていた。
ワールド・リバティ・ファイナンシャルの宣伝をしてきた息子のドナルド・トランプ・ジュニア(Donald Trump Jr)氏、エリック・トランプ(Eric Trump)氏に加え、コインベースが報じたホワイトペーパーには、末息子で18歳のバロン(Barron)氏も同社で役割を果たすことが示唆。
かつて、暗号資産を詐欺呼ばわりしていたトランプ氏が、暗号資産関連事業を起こすようになるほどの大変化を遂げたことは、暗号資産業界にとってポジティブな側面だろう。少なくとも、現在のバイデン政権よりもはるかに良い影響を与えることは確かだ。
また、トランプ氏はロングアイランドでの選挙集会を前に、ビットコイン決済ができるバー「Pubkey」を訪れ、常連客のためにハンバーガーやビールをビットコインを使って支払った。トランプ氏は同バーでスマートフォンとタブレットを使って決済したあと、
「ビットコインで最初の取引を終えた。ビットコインを再び偉大なものにしよう」と、まるで勝利宣言のようなパフォーマンスを行ったという。
参考:ロイター通信、ワールド・リバティ・ファイナンシャル
画像:Shutterstock
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