ソニーはステーブルコイン発行企業サークル(Circle)社と戦略的提携を締結したことを発表した。
ソニー・ブロック・ソリューションズ・ラボ(Sony Block Solutions Labs)が開発するイーサリアム(ETH)レイヤー2ブロックチェーン「Soneium(ソニューム)」でUSDCが利用できるようになるとした。
USDCはソニュームの主要なトークンの1つとなる。
ソニュームはソニー・ブロック・ソリューション・ラボが開発し、8月から運用を開始している。分散型台帳技術を活用したあたらしいネットワークフレームワークの作成を目指している。
米調査会社ジャベリン・ストラテジー&リサーチの暗号資産アナリストのジョエル・ヒューゲントブラー(Joel Hugentobler)氏は「ソニュームはエコシステム内で約80のパートナーシップやコラボレーションを確立している。暗号資産(仮想通貨)の普及における最大のハードルの1つは使いやすさだ。暗号資産保有者は、あまり考えずに暗号資産を使えるようにすべきだ。ソニュームはアプリケーション層でこの問題を解決する予定だ。なので、ステーブルコイン分野の企業と提携を結ぶのは大きな意味がある」と述べた。
本提携により、ソニューム上にプロキシを作成しながら、ネイティブのイーサリアムブロックチェーン上にもとのUSDCを保持するステーブルコインのバージョンとなるBridged USDCが統合される。
Bridge USDCプロトコルにより、レイヤー2開発者は、より柔軟に作業できるようになり、ステーブルコインがもとの預金により完全に裏付けられた状態が維持される。
サークル社のCEO、ジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏は声明で「このコラボレーションは、当社のステーブルコインとブロックチェーン技術の採用を加速し、安全でユーザーフレンドリーなWeb3.0体験を通じてクリエイターが活躍できるようにするというサークルの使命にとって重要な節目となるだろう」と述べた。
ステーブルコイン市場は競争が日増に激しくなってきており、毎日のように新規参入者があらわれている。PayPalは最近、PYUSDを導入することを発表して話題となった。
この大手決済会社のステーブルコイン分野への参入は、大企業や金融機関が暗号資産やデジタル資産に投資するという幅広い傾向を反映している。
さらにリップル社の新ステーブルコイン、リップルUSD(RYUSD)の登場も大きな期待が寄せられている。このステーブルコインは、イーサリアムブロックチェーンと比較して1秒あたりのトランザクション数が多いXRP Ledgerブロックチェーン上で利用することができる。
USDCのシェア拡大へ
現在、ステーブルコイン市場は時価総額1,180億ドル(約16兆5,000万円)のテザー社が発行するUSDTが独占状態にある。
サークル社のUSDCは360億ドル(約5兆円)で第2位だ。今回の戦略的提携でサークル社はソニーを通じてステーブルコインを普及させることができるようになり、シェア拡大に期待がかかる。
参考:サークル社
画像:Shutterstock
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