
テザー(USDT)の仕組み
USDTはいわゆるステーブルコインの一種であり、1USDT = 1ドルを目指して運用されています。テザー社が発行し、法定通貨(主にドル)を担保の中心にしているため、価格の安定性が確保されています。
テザー社は、発行したUSDTに対して、同等の価値がある法定通貨や等価物を準備資産として保有することを約束しています。
テザー社は透明性を確保するために、定期的に準備資産の監査を行っていますが、過去にはその透明性に疑問が持たれることもありました。
なお、日本法で定めるステーブルコインは、資金決済法における電子決済手段としてみなされており、厳密にいえば海外で表現されるステーブルコインとは扱いが異なります。
USDTの用途と市場での役割
USDTは暗号資産取引の基軸通貨として利用されることが多く、法定通貨と暗号資産をつなぐ橋渡しの役割をはたしています。特に、世界の暗号資産の売買においては、USDT建ての取引ペアが主流です。投資家はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の価格が下がりそうなタイミングでUSDTに交換することで、自らの資産を守っています。
また、USDTは送金手段としても活用されており、低コストかつ高速な国際送金が可能です。これにより、特に海外にいる家族や友人への送金が容易になり、従来の銀行送金に比べて大幅にコストを削減することができます。
ほかのステーブルコインとの比較(USDC・DAI)
USDTは、ほかのステーブルコインと比較しても特異な存在です。たとえば、USDコイン(USDC)は信頼性が高いとされる一方で、流動性の面ではUSDTに劣ることがあります。USDCは、米国の規制に準拠して発行されており、透明性が高いことが特徴です。
また、DAIは暗号資産担保型ステーブルコインであり、中央集権型のUSDTとは異なる仕組みを持っています。DAIは、イーサリアムやERC20に準拠した暗号資産を担保にして発行されるため、価格の安定性を保つために複雑なメカニズムを採用しています。