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暗号資産(仮想通貨)テザー(USDT)とは? メリット・デメリットや今後の動向を解説

2025/03/25Iolite 編集部
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暗号資産(仮想通貨)テザー(USDT)とは? メリット・デメリットや今後の動向を解説

「テザー(USDT)」は、暗号資産(仮想通貨)市場で最も取引量の多いステーブルコインです。ステーブルコインとは、法定通貨やほかの資産に価値を連動させることを目的とした暗号資産であり、特にUSDTは米ドルと連動した価格安定性を持つため、取引所やDeFi(分散型金融)で広く利用されています。

本記事では、テザーの特徴やメリット・デメリット、最新動向を詳しく解説します。

テザー(USDT)の現在価格

USDT Chart
USDTの1年間の推移

現在価格:150.96円

2025年3月25日時点(CoinMarketCap「テザー(USDT)価格・チャート・時価総額」

USDTの価格は、常に1USDT = 1ドルを目指して運用されていますが、実際には市場の需給によって若干の価格変動がみられることがあります。たとえば、急激な市場の変動時には、USDTの価格が1ドルを下回ったり、上回ったりすることがあります。

USDTは多くの取引所で取引ペアとして利用されており、流動性が高い点も特徴です。投資家が安心して取引を行うための安全資産としてみなしている証拠でしょう。

テザー(USDT)とは? 基本概要

USDT image

テザー(USDT)の仕組み

USDTはいわゆるステーブルコインの一種であり、1USDT = 1ドルを目指して運用されています。テザー社が発行し、法定通貨(主にドル)を担保の中心にしているため、価格の安定性が確保されています。

テザー社は、発行したUSDTに対して、同等の価値がある法定通貨や等価物を準備資産として保有することを約束しています。

テザー社は透明性を確保するために、定期的に準備資産の監査を行っていますが、過去にはその透明性に疑問が持たれることもありました。

なお、日本法で定めるステーブルコインは、資金決済法における電子決済手段としてみなされており、厳密にいえば海外で表現されるステーブルコインとは扱いが異なります。

USDTの用途と市場での役割 

USDTは暗号資産取引の基軸通貨として利用されることが多く、法定通貨と暗号資産をつなぐ橋渡しの役割をはたしています。特に、世界の暗号資産の売買においては、USDT建ての取引ペアが主流です。投資家はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の価格が下がりそうなタイミングでUSDTに交換することで、自らの資産を守っています。

また、USDTは送金手段としても活用されており、低コストかつ高速な国際送金が可能です。これにより、特に海外にいる家族や友人への送金が容易になり、従来の銀行送金に比べて大幅にコストを削減することができます。

ほかのステーブルコインとの比較(USDC・DAI) 

USDTは、ほかのステーブルコインと比較しても特異な存在です。たとえば、USDコイン(USDC)は信頼性が高いとされる一方で、流動性の面ではUSDTに劣ることがあります。USDCは、米国の規制に準拠して発行されており、透明性が高いことが特徴です。

また、DAIは暗号資産担保型ステーブルコインであり、中央集権型のUSDTとは異なる仕組みを持っています。DAIは、イーサリアムやERC20に準拠した暗号資産を担保にして発行されるため、価格の安定性を保つために複雑なメカニズムを採用しています。

テザー(USDT)のメリット

merit

価格の安定性 

USDTは、米ドルと連動するため、ほかの暗号資産のように価格変動が少なく、リスク管理がしやすいというメリットがあります。特に、ビットコインなどの変動リスクを回避する手段として、USDTは非常に有効です。投資家は、市場が急激に変動時に資産をUSDTに交換することで、自らの資産価値を守ることができます。

価格の安定性は、特に不安定な市場環境において重要です。投資家は、USDTを利用することで、資産を安全に保管しつつ、必要に応じて他の仮想通貨に再投資することができます。

暗号資産取引の利便性

USDTは、暗号資産取引において重宝されています。海外暗号資産取引所ではUSDT建てのペアが主流であり、取引の流動性は非常に高いです。

さらに、USDTは多くの海外暗号資産取引所でサポートされているため、投資家は簡単にUSDTを購入したり、ほかの暗号資産と交換したりすることができます。この利便性は、投資家にとって非常に大きな魅力です。

送金手数料の低さとスピード

USDTを利用した送金は、銀行送金よりも安価かつ高速です。特に、ERC20、TRC20、SPLなど異なるネットワークで利用できるため、送金手数料を抑えることができます。これにより、国際送金を行う際のコストを大幅に削減することが可能です。

たとえば、TRC20ネットワークを利用することで、非常に低い手数料で迅速な送金が実現できます。これにより、特に小額の送金や頻繁な送金を行うユーザーにとって、USDTは非常に魅力的な選択肢となります。

テザー(USDT)のデメリットとリスク

demerit

テザー社の透明性と準備資産への懸念

テザー社の透明性に関する懸念は、USDTの最大のデメリットの1つです。過去には、準備資産の100%が現金や国債などで担保されているか不透明な時期がありました。

今でこそテザー社は第三者による準備資産の監査を行っていますが、当初より根付いたイメージを払拭するまでには時間を要するものとみられます。

規制リスクの影響

最近では、ステーブルコインに対する規制が強化される傾向にあります。米国やEUでのあたらしい規制により、USDTの信用性が揺らぐ可能性があります。特に、銀行との関係性が変わると、USDTの利用に影響を及ぼすことが考えられます。

規制の強化は、USDTの流通や取引に直接的な影響を与える可能性があり、投資家にとっては懸念材料となり得ます。特に、規制が厳しくなることで、USDTの流動性が低下するリスクも考慮する必要があります。

 

ブロックチェーンネットワークの選択による手数料変動

USDTは、異なるブロックチェーンネットワークで利用可能ですが、ネットワークによって手数料が変動します。たとえば、ERC20ではガス代が高騰することがあり、送金コストが増加する可能性があります。特に、イーサリアムネットワークは、取引が集中する時間帯には手数料が急激に上昇することがあるため、送金のタイミングには注意が必要です。

一方、TRC20は手数料が安いですが、トロンそのものに対する規制リスクが高まっているため、選択には注意が必要です。

SPLは手数料が低く迅速な送金が可能であり、現状では最も利便性の高いネットワークの1つとなっています。その一方で、ソラナネットワークは需要の高まりなどから度々ネットワークが一時的に停止するなど、不安定な部分もあります。

これらの要因により、USDTを利用する際には、どのネットワークを選択するかが重要なポイントとなります。

テザー(USDT)の今後の動向と将来性

USDT image

ステーブルコイン市場の成長

USDTは時価総額や取引量でトップのステーブルコインであり、今後もその地位を維持する可能性があります。DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)市場の発展とともに、USDTの需要が拡大することが期待されます。特に、DeFiでは、流動性提供や貸付、借入においてUSDTが広く利用されており、これによりUSDTの取引量が増加しています。

また、NFT市場においても、USDTは取引の基軸通貨として利用されることが多く、アートやデジタル資産の購入においても重要な役割をはたしています。これにより、USDTの需要は今後も増加することが予想されます。

 

各国の規制動向と影響

米国のSEC(証券取引委員会)やCFTC(商品先物取引委員会)により、現在ステーブルコイン規制の整備が急速に進められています。これにより、USDTの運用や流通にも何らかの影響がみれられる可能性があります。

また、日本でもすでにステーブルコインに関する法整備が整えられており、加えて欧州での規制整備も踏まえると、USDTに限らずあらゆるステーブルコインが影響を受けることとなります。

CBDC(中央銀行デジタル通貨)との関係 

デジタルドルやデジタルユーロが普及すると、USDTの役割が変化する可能性があります。CBDCは、各国の中央銀行が発行するデジタル通貨であり、法定通貨のデジタル版として位置付けられています。CBDCが普及することで、USDTの需要が減少する可能性もありますが、逆にCBDCとUSDTが共存するシナリオも考えられます。

USDTが既存の金融システムとどのように共存するかがカギとなります。特に、CBDCが普及することで、USDTの利用がどのように変化するかを注視する必要がありますが、現時点ではCBDCの普及を含め不透明な要素が非常に多いといえます。

まとめ

USDT image

ここまでUSDTに関する解説を行なってきました。USDTは、最も取引量の多いステーブルコインであり、暗号資産市場において重要な役割をはたしています。

メリットとしては「価格安定性」「送金スピード」「流動性」があげられますが、デメリットとして「規制リスク」「透明性の問題」が存在します。今後の規制動向による影響に注目しながら、USDTの活用方法を考えることが重要です。

特に、USDTは暗号資産市場において流動性を提供する重要なツールであり、投資家やトレーダーにとっては欠かせない存在です。今後の市場の変化に対応しつつ、USDTを活用することで、より効率的な取引や資産管理が可能になるでしょう。

画像:Shutterstock


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