DeFi(分散型金融)とは?仕組みや代表的なサービス、活用方法からリスクまで徹底解説

2025/10/06 12:40
Iolite 編集部
文:Iolite編集部
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DeFi(分散型金融)とは?仕組みや代表的なサービス、活用方法からリスクまで徹底解説

急成長を遂げる「DeFi(分散型金融)」とは?

近年、暗号資産(仮想通貨)の発展に伴い、「DeFi(分散型金融)」という概念が世界中の投資家や技術者の注目を集めている。これは単なる金融技術のトレンドにとどまらず、中央集権的な既存の金融システムを根底から覆す可能性を秘めたイノベーションである。

DeFiは、インターネット環境と暗号資産(仮想通貨)を保管・管理するためのウォレットさえあれば、銀行口座を持たない人々でも金融サービスへアクセスできる仕組みとして注目されている。従来、銀行や証券会社といった中央機関が担っていた役割を、ブロックチェーン技術とスマートコントラクトによって代替しようとする試みがDeFiの本質だ。

この記事では、そんなDeFiの概念や仕組み、そして代表的なサービスなどを紹介していく。

DeFi(分散型金融)の基本概念と仕組み

DeFi 1

DeFiとは、「Decentralized Finance」の略称で、日本語では「分散型金融」と訳される。その名の通り、中央集権的な仲介者を介さず、ユーザー同士が直接取引や資産運用を行えるシステムを指す。そのため、従来であれば仲介者が得ていた手数料などがかからないことに加え、自由度の高い取引が可能となっている。

この仕組みの中核にあるのが「スマートコントラクト」である。これは、あらかじめ定義された条件にもとづき、自動的に取引や契約の実行を可能とするプログラムであり、イーサリアム(Ethereum:ETH)やソラナ(Solana:SOL)などといったブロックチェーン上で動作している。

また、DeFi(分散型金融)は「中央集権的な仲介者を介さない」という特徴から、透明性が強みの1つとなっている。その透明性が信頼性を担保すると同時に、コミュニティ主導の開発文化を形成している。

代表的なDeFi(分散型金融)サービスとその特徴

DeFi 2

DeFi(分散型金融)にはさまざまなユースケースが存在する。以下はそれぞれの用途において代表されるサービスだ。

DEX(分散型取引所)

代表例:Uniswap、SushiSwap
従来の暗号資産(仮想通貨)取引所とは異なり、ユーザーが自らの資産を取引所に預けるのではなく、ウォレットを接続することで直接取引を行うことができる。自動マーケットメイカー(AMM)の仕組みを活用し、価格決定と流動性供給がアルゴリズムによって自動化されている。

レンディング(貸付)

代表例:Compound、Aave
ユーザーが暗号資産(仮想通貨)を預け入れることで利息を得たり、担保を差し出して資金を借りることが可能。スマートコントラクトを通じて返済条件や清算条件を自動管理することで、公平な金融取引が成立している。

リキッドステーキング

従来のステーキングは、ブロックチェーンの管理・運営に参加することで報酬を得る仕組みだ。一方、リキッドステーキングは特定の暗号資産(仮想通貨)をDeFiサービスに預け入れることで、代替トークンを得ることができる。

この代替トークンは預け入れた基本的に暗号資産(仮想通貨)と1:1の割合で受け取れることができ、そして自由度高く取引・運用を行うことができる。

イールドファーミング

イールドファーミングは、DeFi(分散型金融)サービスにおいて、取引の流動性を提供することにより報酬を得られるものだ。DeFi(分散型金融)を活用した高い利回りを得られる資産運用手法として知られている。

流動性を提供するということから、基本的には対象となる暗号資産(仮想通貨)を2種類預け入れることとなる。たとえば、自分がイーサリアム(ETH)とUSDコイン(USDC)を保有しているとするならば、「ETH/USDC」のペアを選択し、この両方を預け入れるといった形だ。

DeFi(分散型金融)がもたらす利点と社会的意義

DeFi 3

DeFi(分散型金融)の持つ最大の利点は、「金融包摂(Financial Inclusion)」の実現である。銀行口座を持てない新興国の人々でも、スマートフォンと暗号資産(仮想通貨)ウォレットがあれば、貯蓄・貸付・送金といった金融サービスにアクセスできるようになる。

また、手数料の削減や取引スピードの向上も見逃せない。従来の金融システムでは、多数の仲介者が介在し手数料がかさんでいたが、DeFi(分散型金融)ではこれらの手数料が大幅に軽減される。さらに、24時間365日稼働するため、時間や国境を問わずに利用できる利便性も備えている。

加えて、検閲耐性という点も特徴だ。ブロックチェーン上で実行されるスマートコントラクトは、特定の国家や組織によって恣意的に停止されることがないため、自由な金融取引を可能とする。

DeFi(分散型金融)のリスクと課題

DeFi 4

一方で、DeFi(分散型金融)にはリスクも多く存在する。

まず、スマートコントラクトのバグや脆弱性を突いたハッキングは後を絶たない。DeFi(分散型金融)市場では、過去に数億ドル規模の資金流出事件が複数発生しており、ユーザー資産の安全性は常に脅かされている。

また、いわゆる「ラグプル(Rug Pull)」と呼ばれる詐欺的行為も問題視されている。これは開発者がプロジェクトを立ち上げトークンの発行などを行うものの、突如として姿を消し投資資金を持ち逃げする手法だ。DeFi(分散型金融)に限ったことではないが、警戒をしていても見抜けにくいことから、今もなお被害が後を絶たない。

さらに、法規制との関係も複雑である。現行法の枠組みでは対応が難しいサービスも多く、各国政府はDeFi(分散型金融)に対する規制の整備を進めている段階にある。将来的にはライセンス制やKYC(本人確認)の義務化など、ユーザーの匿名性を損なう可能性も浮上している。

そして初心者を中心に悩みの種となっているのが、中央集権的な管理者が不在であることから、あらゆる行動が自己責任となる点だ。取引や運用のサポートなども基本的に存在せず、不測の事態が起きた際にも自ら対処する必要があるため、いずれのサービスを利用するにしても、比較的難易度が高いものであることは留意すべきだろう。

DeFi(分散型金融)の未来と投資家が取るべき行動

DeFi 5

現在、DeFiは(分散型金融)「DeFi 2.0」と呼ばれるあらたなフェーズへと進化している。これは、過去の問題点や課題の解決に向け取り組む新興DeFiプロジェクトを指すことが多く、Protocol Owned Liquidity(プロトコル所有の流動性)などのあたらしいモデルも提案されている。

また、Web3.0の時代において、DeFi(分散型金融)は金融インフラの一部として再定義されつつある。中央集権的な管理者を必要としないネットワーク上で、金融、アイデンティティ、データが統合される未来像が描かれている。

こうした変化に対応するためには、投資家自身がプロトコルの仕組みを理解し、リスクを見極めるリテラシーを高めることが不可欠だ。単なる高利回りに惑わされるのではなく、分散型の思想や開発背景を踏まえた判断が求められる。

DeFi(分散型金融)時代を生き抜くために必要な視点

DeFi 6

DeFiは単なる投資先ではなく、あらたな金融の在り方を体現する仕組みである。たしかに、ハッキングや法規制といったリスクは存在するが、それでもこの領域には大きな社会的意義と可能性が秘められているといえるだろう。

重要なのは、情報を鵜呑みにせず、常にアップデートを追いながら、自らの資産を守る意識を持つことだ。DeFiの本質を理解し、正しく使いこなすことができれば、それは個人にとっても社会にとっても大きな利益をもたらす可能性がある。


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