今回のイベントでは、上場企業によるWeb3.0関連の取り組みを紹介するピッチセッションと、それを踏まえて参加者同士が議論を深めるワークショップが組み合わされた構成となった。
まず前半では、NTTドコモ・グローバルと三井物産デジタルコモディティーズによるピッチが行われ、その内容をもとに参加者がグループごとに議論するワークショップが実施された。その後、博報堂キースリー、セブン銀行、野村ホールディングスによるピッチが続き、後半でも同様にワークショップ(後半)が行われ、参加者同士がWeb3.0の実践的な活用について意見を交わした。
NTTドコモ・グローバルが描くユニバーサルウォレットの構想
NTTドコモグローバルの稲川氏は、同社のWeb3.0事業が「ユニバーサルウォレットインフラ」と「バリデータ事業」の2本柱で構成されていることを説明。なかでも注目されたのが、暗号資産やステーブルコインに加え、デジタル化したチケットなどのデジタル資産、さらに本人認証に必要なアイデンティティ情報を1つのウォレットで扱う「ユニバーサルウォレット」の構想である。

現在のインターネットでは、ユーザーがサービスごとに個人情報を提供し、その情報を各事業者が保有する構造が一般的である。これに対し稲川氏は、「今後はユーザー自身が情報を管理し、必要に応じて企業へ提示する自己主権型のモデルへ移行していくべきだ」と語った。こうした基盤が整えば、企業間の連携も進み、サービス利用の利便性は大きく向上するとの考えを示した。
また、もう1つのバリデーター事業では、複数のブロックチェーンでノード運営を行い、取引検証を通じてネットワーク維持に関与していることを紹介した。通信インフラ企業として、Web3.0でもアプリケーションではなく基盤提供側に立つ姿勢が印象的であった。
三井物産デジタルコモディティーズが語る「実物資産のトークン化」
続いて登壇した三井物産デジタルコモディティーズの辰巳氏は、同社が手がける金(ゴールド)と価値連動することを目指す暗号資産「ジパングコイン」を軸に、トークン発行ビジネスの現在地を説明した。2022年に金連動型、2023年には銀やプラチナ連動型の暗号資産を発行しており、暗号資産市場におけるあらたなアセットクラスとして位置付けている。

同氏は、こうした事業の立ち上げが決して平坦ではなかったことも明かした。国内でのトークン発行には厳格な規制対応が求められ、検討開始からローンチまで約5年を要したという。その上で、同社にとって重要なのは金そのものではなく、将来的に三井物産グループが持つ鉱山、エネルギー資産、船舶などを含む多様な実物資産をトークン化していくことにあると語った。
さらに「オンチェーン金融」というキーワードにも触れ、最終的には株式、債券、不動産、コモディティなどが一つの基盤上で扱える世界の方が利便性は高いとの見方を示した。法整備は途上にあるものの、そうした未来に向けた実装が徐々に進みつつあることを印象付けた。