AIエージェントとWeb3.0インフラが融合する必然性──「OKJアカデミー」第3回開催レポート

2026/05/28 12:00PR
Iolite 編集部
文:Shogo Kurobe
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AIエージェントとWeb3.0インフラが融合する必然性──「OKJアカデミー」第3回開催レポート

第3回目テーマは「AIの最新トレンドをやさしく紐解く~AI×Web3の未来予想図~」

5月19日、国内暗号資産(仮想通貨)取引所OKJが、Web3.0と先進技術の融合を学ぶ場として「OKJアカデミー」を開催した。

OKJアカデミーは、暗号資産・Web3.0初心者、またWeb3.0に興味のある学生、金融や投資に興味はあるが暗号資産にまだ触れたことがない人が、暗号資産を始めとするWeb3.0に対する理解を深め合い、障壁をなくすことを目指すコミュニティだ。

昨年より本イベントは実施されており、今回で3回目の開催となる。

第3回目のテーマは「AIの最新トレンドをやさしく紐解く~AI×Web3の未来予想図~」。AI及びWeb3.0領域の有識者が登壇し、AIエージェント活用の最前線と、Web3.0ビジネスや暗号資産のエコシステムにもたらす影響について語られた。

OKJ Academy 1

ChatGPTの先へ──最初の目的設定だけで「自律」し続けるAIエージェント

「AIの最新トレンドをやさしく紐解く」と称した講義に登壇したのは、ビジネスオペレーションにおける生成AI活用を専門とする、はやっち氏だ。

はやっち氏は冒頭、AIを用いて自身が運営する「JPYC info」をわずか1日で構築したことや、X(旧Twitter)の公式アカウント運用をAIでほとんど自動化していることなどを紹介した。

OKJ Academy Hayacchi 1

従来のChatGPTは人間の指示に対してその都度返答する「指示待ち型」だったが、現在のトレンドの核心は、目的を達成するまで自分で考え作業をループし続ける「AIエージェント」へと完全に移行している。

また、はやっち氏は実務における自身のAIエージェントの自律運用例を下記のようにあげた。

・SEO・ブログの自律運用:Googleアナリティクスのデータを1週間ごとにAIが自律解析し、キーワードを選定。毎日3本の記事をリライト・投稿する。

市場リサーチの自動化:XなどのSNSを巡回し、有益なトレンド情報を抽出して毎日自動配信する。

バグ発見とデバッグ:サイトのバグ検証を指示したところ、AIが2時間半かけて30個のバグを自律的に発見。その後、3〜4時間かけてすべてのコード修正を完結させた。

サイト表示速度の劇的改善:「モバイルの表示速度スコアが90以上になるまで修正せよ」というゴールに対し、AIが13回に及ぶ修正ループを約12時間回し続け、表示速度1秒以下を達成した。

 

また、ブラウザの画面そのものを人間のように視覚的に認識して操作するAIも登場しており、「うかつにSNSで有益なアイデアを呟けば、瞬時にAIにコピーされて検証・実装されてしまう時代」と同氏はその進化のスピードを強調した。

安全にAIを動かすためのルール設計──Web3.0が果たす4つの役割

AIエージェントに実務を任せる上で避けて通れないのが、誤作動による不正送金やデータ損壊といった実害リスクである。はやっち氏は、AIエージェントを安全に運用するためには「頭脳(モデル)」「記憶(データ接続)」「道具(API等)」に加え、どこまで行動を許すかを決める「ルール」の4要素が不可欠であると指摘する。

プロンプトで「これをするな」と命令するだけでは、賢いAIはルールを飛び越えてしまう。そのため、システム的に権限を最小化し、すべての実行記録(ログ)を一元管理して見える化する「安全運転の原則」が組織運営には必須となる。

そして、この安全な運用のために必要な「4つの基盤(お金、権限、本人確認、履歴)」において、Web3.0技術が強力な解決策となる。価格が安定したステーブルコインをAIの決済通貨とし、AIにわたす予算や権限のルールを「スマートコントラクト」にあらかじめ書き込んでおくことで、どれだけAIが暴走しようともプログラムの枠を超えた不正送金を物理的に防ぐことが可能となる。

ツールとしてのAIはすでに完成の域に差し掛かっており、あとは人間が「いかに使いこなすか」「いかにリスクを制御するか」のフェーズにある。強力な手足(AIエージェント)と、絶対に破られないルールを設計の上、融合させることが、これからのWeb3.0ビジネスに求められることだろう。

OKJ Academy Hayacchi 2

現場のAI活用リアル:文系でも1日でデモアプリを作る圧倒的スピード

後半では、GUILD株式会社代表の小宮滉氏がモデレーターを務め、最先端領域で活動する学生団体代表や事業開発者、エンジニアを交えたトークセッション「AIとWeb3の未来予想図」が行われた。

人間がAIに代替されつつある過渡期において、現場の第一線に立つプレイヤーたちはどのような視点やマインドセットを重視しているのだろうか。

パネリストたちは、実務や研究においてすでにAIを「完全にワークフローに組み込む」レベルで活用している。

AIやWeb3.0、XRの学生テックコミュニティ「Neurabit(ニューラビット)」を創設し代表を務める慶應義塾大学の中根和俊氏は、3D開発ソフト「Unity」でのC#スクリプト生成や、企業のフォーマットに沿った資料作成に「ClaudeCode」などのAIエージェントを導入し、長期インターン先での業務をほぼ完全自動化していると明かした。

OKJ Academy Neurabit

また、ステーブルコイン対応のクレジットカード「Slash Card」を提供するSlash Visionの矢野大雅氏は、マルチモーダルAIの活用により「文系人材」の可能性が劇的に広がっていると指摘する。

OKJ Academy Taiga Yano

その上で、矢野氏は現場におけるAIエージェント・ツールの活用例として下記をあげた。

Manas AI・Genspark:画面を自動操作させ、メディア取材用の資料を1日で作成。

Loak(ローク):iOSのネイティブアプリをノーコードで直感的に構築し、エンジニアを介さず1日で高品質なデモアプリを完成させる。

OpenArt:絵コンテから3D空間の映像を切り出し、プロモーションビデオ(PV)をAIで内製化。

アイデアさえあれば「誰でも即座に形にできる時代」が到来しており、人的コストの低下はベンチャーやスタートアップが既存の壁を突破する大きな武器になりつつある。

決済とセキュリティの交差点──AI同士がブロックチェーンで取引する未来

セッションの後半、パネリスト全員が口を揃えたのは、「AIエージェントが自律的に経済活動を行う際、その決済基盤は間違いなくステーブルコインになる」という未来予測である。法整備が追いついていない現状、オープンなブロックチェーン空間はAIが活動するための「巨大な実験場」として最適だからである。

HODL1のCTOである伊藤光佑氏からは、DeFiが最新AIによる「サイバーセキュリティの最前線の攻防戦」になるというエンジニア視点での「2つの選択肢」を提示した。

1つ目は、攻撃側に対抗するようにアプリケーション(防御)側もAIを徹底的に活用してセキュリティレベルを引き上げ、最終的に「AIの猛攻を受けても完全に安全なDeFi」へと収束させていく道である。

そして2つ目は、スマートコントラクトという「コード」のみで完璧な契約を表現し、漏れなくバグを防ぐこと自体の限界を認める道である。

この場合、契約そのものをコードではなくAIエージェント同士が理解できる「自然言語」で定義して取引を行い、万が一何かしらの紛争や問題が起こった際には、その自然言語をベースに事後的に解決を図ることになる。これは皮肉にも、現在の人間社会における既存金融のやり方に立ち戻るアプローチであるといえる。

完璧なコードの壁をAIの防御力で築き上げるのか、それとも自然言語による契約に移行するのか、AIエージェント同士の取引においてどちらの結論が最適解となるかはまだみえていない。しかし、この最前線での攻防とその収束のプロセスこそが、これからのAI×Web3.0の未来を決定づける興味深いポイントであると同氏は締めくくった。

OKJ Academy HODL1

また、AIがすべてのハードスキルを代替していく時代に、中根氏は「技術はAIが補完してくれるからこそ、コミュニケーションなどの『ソフトスキル(人間力)』の価値が高まる」と語る。矢野氏も「差がつくのはデザインとマーケティング。やりたいことがあれば即座にリリースして市場の反応を見るスピード感がすべてだ」と、即実行することの重要性を強調し、セッションを締めくくった。

必然ともいえる「AI×Web3.0」の融合

セッション終了後には、ビットコインが初めて決済に使用された日を祝う「ビットコインビザデー」が間近に迫っていることから、参加者にピザが振る舞われた。イベント登壇者と参加者がピザを片手に交流を深める光景は、このイベントの意義を象徴するものであったといえる。

OKJ Academy pizza

今回のOKJアカデミーでは、AIエージェントという自律的なツールが普及する時代において、スマートコントラクトやステーブルコインといったWeb3.0のインフラが融合していく「必然性」が示されたといえる。

こうした状況を踏まえたこれからのWeb3.0ビジネスが、規制や既存金融のジレンマを突破しながら、革新的なユースケースを次々と生み出していくことに期待したい。

画像:Iolite編集部

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