
最初に登壇したのは、8ships JAPAN Partner Relationの枡井優太氏である。CEO Terry Tomonaga氏の思想を引き継ぎながら、RIZE3x EXPOの設計思想を紹介した。
8shipsが掲げるミッションは「テクノロジーとストーリーテリングを融合し、体験を連鎖させる」ことだと語る。大阪で開催されたRIZE3x EXPOは、その思想を都市規模で実装した大規模プロジェクトだ。
大阪全域500ヵ所を舞台に、来場者は“体験の証明”となるバッジを獲得しながら物語を進めていく。梅田の解体予定ビルを9階丸ごと使ったアドベンチャー空間では、アート・カルチャー・テクノロジーが結びつき、階層ごとに異なる世界観が展開された。
この体験設計の核心は、Web3.0を全面に出すのではなく、「Web3.0を感じさせずに使わせる」点にある。
QRコードやGPSを使ったバッジ取得は、来場者にとって“スタンプラリーの進化版”として自然に受け入れられた。結果として、Web3を知らない子どもから高齢者、外国人旅行者までが、抵抗なくデジタル証明を獲得しながら体験を進めることができたのだろう。
また、体験データの蓄積が“ファンの深度”を可視化する点も特徴的である。単に来場したかではなく、どの体験をどの順番で深めたかが明確になる。この設計は、ブランドが「誰が本物のファンか」を理解するあたらしい手段となる。
枡井氏は、次のフェーズとして「デジタル体験プラットフォーム」構想を語った。2026年以降、リアルに来場できない人も、事前のプロローグ体験やストーリーに参加できるようにする計画である。
リアルとデジタルの境界をなくし、体験が多層的に連鎖する世界の実現を目指す姿勢が印象的であった。