注目の暗号資産(仮想通貨)「SUI(スイ)」とは?次世代ブロックチェーンの特徴・将来性を解説

2025/06/13 14:19 (2025/09/10 12:21 更新)
Iolite 編集部
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注目の暗号資産(仮想通貨)「SUI(スイ)」とは?次世代ブロックチェーンの特徴・将来性を解説

はじめに

現在、次世代のレイヤー1ブロックチェーンとして「Sui(スイ)」が高い注目を集めている。従来のブロックチェーンが抱えていたスケーラビリティや処理速度、ユーザビリティの課題を解決するために開発され、特に高速・高効率でありながら開発者にとっても扱いやすい設計が評価されている。

そんなSui(スイ)の期待は、ネイティブトークンであるSUIの価格にもあらわれている。

この記事では、Sui(スイ)の特徴や将来性、今後の展望などについて触れていく。

暗号資産(仮想通貨)SUIの現在の価格動向と市場の評価

Sui 1
SUIの直近1年間の推移

現在価格:521円

2025年9月10日時点(CoinMarketCap「スイ(SUI)価格・チャート・時価総額」

SUIの価格は、Sui(スイ)のユースケース拡大に伴い2024年秋頃より大きく上昇した。また、SUIを取り扱う暗号資産(仮想通貨)取引所が増加したこともあり、2025年6月13日時点では暗号資産(仮想通貨)時価総額12位につけている。

Sui(スイ)とは?プロジェクトの基本情報

Sui 2

Mysten Labsと開発チームの背景

Sui(スイ)は、元Meta(旧Facebook)のDiem(ディエム)プロジェクトに関わっていた開発者らによって設立されたMysten Labsが主導するパブリックブロックチェーンだ。プロジェクトの目的は、「誰もが参加できる高速・低コストな分散型アプリケーション基盤」を提供することである。

採用されているMove言語の特徴

Suiの開発において重要な要素が、プログラミング言語「Move」を採用している点だ。MoveはもともとDiem向けに開発された安全性・柔軟性の高いスマートコントラクト言語で、資産の所有権や状態遷移を厳密に管理できるという特徴がある。

Sui(スイ)の技術的特徴

Sui 3

高いスケーラビリティ性能を実現する「Narwhal(ナーワル)」「Bullshark(ブルシャーク)」の仕組み

さらに、Sui(スイ)は「Narwhal(ナーワル)」「Bullshark(ブルシャーク)」という2つを組み合わせた独自コンセンサスアルゴリズムを採用しており、トランザクションの並列処理を可能にしている。これにより、スループット(1秒あたりの処理量)の向上とレイテンシ(遅延)の低下という、本来両立しにくい性能のバランスを実現。大量のトランザクションを扱うアプリケーションにも対応可能な高いスケーラビリティ性能を誇っている。

オブジェクトベースによる柔軟な資産管理

また、Sui(スイ)は「オブジェクトベース」のブロックチェーンとして設計されている。これは、ユーザーが所有する資産やデータがすべてオブジェクトとして扱われ、それぞれに明確な状態と所有権が定義されるという仕組みだ。これにより、ゲームやNFTなど、複雑な状態管理を要するアプリケーションでも安定した動作が可能となる。 

加えて、ユーザーにとっての使いやすさにも配慮されている。手数料の明確化やトランザクション結果の即時確認など、ユーザーエクスペリエンスに優れた設計が特徴でありSui(スイ)の大きな強みだ。

Sui(スイ)の主なユースケースと活用例

Sui 4

Sui(スイ)は、ゲーム、NFT、DeFi(分散型金融)といったWeb3.0領域において、すでに実用的なユースケースを持ち始めている。なかでも「BlueMove(ブルームーブ)」や「Aftermath Finance(アフターマス・ファイナンス)」などのプロジェクトは、Sui(スイ)の特性を活かしたdApps(分散型アプリ)の好例である。

高速NFTマーケット「BlueMove(ブルームーブ)」

「BlueMove(ブルームーブ)」は、Sui(スイ)及び同じMove言語を用いたアプトス(Aptos)ブロックチェーンのNFTマーケットプレイスとして、オブジェクトベースの構造を活用し、ユーザーが保有するNFTのトランザクションを高速かつ正確に処理している。

DeFiでの即時処理の実現した「Aftermath Finance(アフターマス・ファイナンス)」

「Aftermath Finance(アフターマス・ファイナンス)」は、ステーキングやスワップといったDeFi(分散型金融)サービスを提供しており、手数料の低さとトランザクションの即時性が高く評価されている。

開発支援の充実とエコシステムの拡大

開発者向けには豊富なドキュメントやSDKが整備されており、新規参入の障壁が比較的低いのも強みである。実際に、Sui(スイ)上でのdApps開発件数は急増しており、今後のエコシステム拡大に大きな期待が寄せられている。

SUIトークンの仕組みと経済設計

Sui 5

ガス代・ステーキング・ガバナンスでの利用

SUIは、ネットワークの維持と活性化において中心的な役割をはたすトークンである。用途としては、ガス代(手数料)の支払い、ステーキング、ネットワークガバナンスなどがあげられる。

トークン配布とロック解除スケジュールの概要

SUIの総供給量は上限が決められており、インフレを抑えた設計となっている。トークン配布は、開発者、投資家、コミュニティ、財団など複数のカテゴリにわかれ、ベスティング(権利確定)スケジュールにもとづいて段階的にロック解除されていく。

セキュリティと参加を両立するステーキングモデル

また、バリデータはSUIをステーキングすることでネットワークのコンセンサスに参加し、報酬を得ることができる。こうした構造は、ネットワークのセキュリティを担保しながら、ユーザーの参加意欲を促す仕組みとなっている。

開発者・ユーザーに配慮された経済設計

このようなトークン設計により、Sui(スイ)はWeb3.0時代の商用ブロックチェーンとしての現実的なインフラを提供しつつある。スピード・コスト・拡張性を兼ね備え、開発者とユーザー双方にとってバランスの取れた経済モデルが構築されている点が高く評価されている。

Sui(スイ)の競合比較とポジショニング

Sui 6

アプトス(Aptos)との違い:構造と処理手法の比較

Sui(スイ)はしばしば、同じMove言語を用いたアプトス(Aptos)や、高速処理を武器とするソラナ(Solana)、そして最大手のイーサリアム(Ethereum)と比較される。

ソラナ・イーサリアムとの位置付けの違い

アプトス(Aptos)とは開発ルーツを同じくしつつも、オブジェクト中心の構造や並列処理の優位性により差別化を図っている。一方ソラナ(Solana)に対しては、ネットワークの安定性や開発者体験において優位性を持つとされている。

イーサリアム(Ethereum)は圧倒的なエコシステムと実績を持つが、トランザクション処理速度や手数料の高さが課題とされており、Sui(スイ)はこの点で補完的な選択肢として位置付けられている。

UX・DXの観点からみるSui(スイ)の強み

UXや開発環境の整備状況もSui(スイ)の強みであり、Move言語による高い安全性と柔軟性は、独自性のあるアプリケーション開発を可能にする土壌となっている。

Suiの成長性と今後の展望

Sui 7

有力VCによる資金調達と信頼性の確保

Sui(スイ)は、2022年以降に複数のラウンドで資金調達を成功させており、a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)を始めとする有力VCの支援を受けている。これにより、開発基盤やエコシステム構築に十分なリソースを確保している。

エコシステムの成長を示す主要指標

現在、TVL(Total Value Locked)やdApps数、アクティブユーザーといったエコシステム指標も着実に成長を示しており、2025年にはさらなるアップデートの実施が予定されている。特に、dApps間でのデータ共有、クロスチェーン対応、プライバシー機能の強化などが注目される。

ETF申請がもたらす期待と波及効果

さらに、SUI現物ETFの申請が米国で行われたこともあり、制度面での進展が価格やSui(スイ)の採用の後押しとなる可能性が高い。こうした動きは、Sui(スイ)の長期的な信頼性と成熟性を裏付ける材料となっている。

Suiに投資・利用する際の注意点

Sui 8

トークン供給と価格変動のリスク

Sui(スイ)のような新興プロジェクトに投資・参加する際には、いくつかの留意点がある。まず、トークンのロック解除スケジュールにもとづく供給増加は、価格の下落圧力につながる可能性がある。また、現時点ではグローバルな規制環境も流動的であり、政策変更による影響も排除できない。

Move言語に関する習得ハードルと開発負荷

さらに、Sui(スイ)は独自言語Moveを採用しており、開発者が習熟するまでに時間を要するケースもある。これは一部プロジェクトの開発スピードに影響を与える可能性がある。 

こうしたリスクを理解し、最新の公式情報やエコシステムの動向を注視することが重要である。

まとめ

Sui 9

ここまでSui(スイ)について解説を行ってきた。

Sui(スイ)は、高速処理・並列実行・柔軟なトークン設計を特徴とする次世代型レイヤー1ブロックチェーンである。NFTやDeFiといった分野での実用展開を進めつつ、制度化・資金調達・技術革新という3軸でバランスの取れた成長を遂げている。

また、Move言語をベースとした開発環境、ユーザーフレンドリーな設計、Web3.0時代の実需に応えるアーキテクチャは、他チェーンとの差別化要因となっている。SUIの価格も中長期で安定性を高めつつあり、Sui(スイ)は今後、開発者・投資家・利用者にとっても重要な選択肢となり得る可能性を秘めているといえる。

画像:Shutterstock、各所公式サイト


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