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暗号資産(仮想通貨)XRPとは? リップル社との関係や今後の将来性を解説

2025/06/04 13:10 (2025/06/04 13:10 更新)
Iolite 編集部
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暗号資産(仮想通貨)XRPとは? リップル社との関係や今後の将来性を解説

リップル社とXRPが注目されている理由

暗号資産(仮想通貨)市場はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を中心に日々成長を続けている。そのなかでも、実需を背景に安定した成長を遂げている存在が、米国のリップル社(Ripple Inc.)が発行する暗号資産(仮想通貨)XRPである。

本記事では、リップル社の事業内容やXRPの特徴及び将来性、そして今後の展望について詳しく解説する。

リップル社とは?

XRP 1

リップル社の概要とビジョン

リップル社は2012年に米カリフォルニア州サンフランシスコにて創業されたブロックチェーン企業である。創業当初から、従来の国際送金システムに代わる革新的な金融インフラを構築することをビジョンとして掲げている。

従来の国際送金では、複数の中継銀行を経由することで手数料が高く、送金に数日を要するケースが一般的であった。これに対し、リップル社は自社開発のRippleNet(リップルネット)を通じて、迅速かつ安価なクロスボーダー決済を実現しようとしている。

RippleNet(リップルネット)とは?

RippleNet(リップルネット)とは、リップル社が構築したエンタープライズ向けのグローバル決済ネットワークであり、世界中の銀行や決済プロバイダーをブロックチェーン上で直接接続するものである。これにより、異なる国・通貨間の送金においても、仲介業者を介さずに即時かつ透明性の高い取引が可能となる。

RippleNet(リップルネット)は、従来の個別プロダクト群(xCurrent・xRapid・xVia)を統合し、よりシンプルかつ包括的な決済プラットフォームとして再設計されている。現在では、RippleNet(リップルネット)は主に以下の2つの中核機能により構成されている。

 

  • RippleNet Messaging(旧xCurrent相当)

ISO 20022規格に対応した決済メッセージング機能。銀行や送金業者同士がリアルタイムで送金情報をやり取りでき、送金状況の追跡や透明性の向上を実現する。

これは従来のSWIFTメッセージングと競合する部分であり、すでに多くの金融機関に採用されている。

 

  • ODL(On-Demand Liquidity)

XRPをブリッジ通貨として用い、通貨間の即時変換と決済を実現する流動性提供機能。送金元の通貨をXRPに変換し、受取側で別通貨に再変換することで、ノストロ口座を保持する必要がなくなる。

2025年現在、ODLは数十ヵ国以上で稼働しており、東南アジア・中東・ラテンアメリカ地域を中心に実用化が進んでいる。

このなかでも特に注目されているのがODL(オンデマンド流動性)であり、法定通貨を即座にXRPに変換し、受取国で別の法定通貨に変換することで、中継口座(ノストロ口座)を不要にしつつ流動性とスピードを両立している点が画期的である。

 

こうした構造により、RippleNet(リップルネット)は既存のSWIFTシステムに代わる次世代の国際送金インフラとして、複数の地域・通貨・金融機関をまたぐリアルタイム決済を可能にしている。

 

銀行とのパートナーシップ

リップル社が注目を集めている要因の1つが、世界中の主要銀行や金融機関と強固な提携関係を築いていることである。これは、技術面の信頼性だけでなく、金融業界におけるリップル社の影響力の大きさを示している。

パートナー企業には、三菱UFJ銀行やSBIホールディングスといった日本のメガバンクを始め、欧州のSantander銀行、米国のAmerican Expressなど、グローバルに事業を展開する大手が名を連ねている。

これらの企業はRippleNetを導入することで、送金時間の短縮、運用コストの削減、決済の透明性向上といった恩恵を受けており、今後さらに導入機関が増加すると見込まれている。

採用事例の一部 

日本:SBIグループとの合弁企業「SBI Ripple Asia」

ヨーロッパ:Santander銀行がRippleNet(リップルネット)を用いた送金アプリを導入

中央集権的構造とその評価

ビットコインやイーサリアムといった暗号資産(仮想通貨)は「非中央集権的(分散型)」なネットワーク構造を持つことが特徴であるが、リップル社はあえて中央集権的なアプローチを採用している。この方針は業界内でも賛否がわかれるところである。

中央集権的であるということは、ネットワークの運営や技術開発、XRPの保有・配布などにおいて、リップル社が強い管理権限を持っているということを意味する。この構造は、金融業界や規制当局からの信頼を得やすい一方で、分散性を重視する仮想通貨コミュニティからは「真のブロックチェーンの理念に反する」との批判を受けることもある。

ただし、このアプローチは特に金融用途において迅速な意思決定、規制対応、スケーラビリティの確保といったメリットがあるとされ、実用重視の観点では一定の評価を受けている。

XRPとは? その特徴とユースケース

XRP 2

XRPの基本的な特性

XRPは、リップル社によって開発・発行された暗号資産(仮想通貨)であり、RippleNet(リップルネット)における国際送金をスムーズに行うための「ブリッジ通貨(中継通貨)」としての役割をはたしている。

XRPの最大の特徴は、スピード・コスト・拡張性・信頼性にある。ブロックチェーン技術にもとづくトランザクション処理において、ほかの主要な暗号資産(仮想通貨)と比較しても優れた性能を有しており、実用性が極めて高い通貨として位置付けられている。

 

主な特徴 

  • トランザクション速度:送金は約3〜5秒で完了し、ビットコイン(10分前後)やイーサリアム(数分)を大きく上回る。
  • 送金手数料:XRPの送金にかかる手数料は0.00001XRP(1XRP = 数十円換算でごくわずか)と極めて安価。
  • 総発行量と希少性:発行上限は1000億XRPで固定されており、インフレリスクが低い。なお、送金時に手数料としてXRPが焼却(バーン)されるため、流通量は徐々に減少していく設計となっている。

また、XRP Ledger(XRP台帳)と呼ばれる独自の分散型台帳技術を用いており、エネルギー消費量が極めて少ないという点も評価されている。これはビットコインのようなPoW(プルーフ・オブ・ワーク)型と異なるコンセンサスアルゴリズム「PoC(Proof of Consensus、プルーフオブコンセンサス)」を採用しているためである。

 

トランザクション性能とコスト

XRPがほかの暗号資産(仮想通貨)と明確に差別化される最大のポイントが、送金速度の速さと手数料の低さである。

ビットコインは1ブロックあたりの生成に約10分を要し、トランザクションが混雑する際には数時間かかる場合もある。また、イーサリアムもネットワークのガス代が高騰しやすく、少額送金には不向きである。

それに対しXRPは、数秒での決済完了、ほぼゼロに近い送金コスト、秒間1,500件以上のトランザクション処理能力を備えており、スケーラビリティと安定性の両立を果たしている。これは、企業間決済や金融機関による大口送金のみならず、小口の国際送金(リテール送金)にも適していることを意味している。

加えて、XRPの取引は「失敗する」リスクが非常に低く、コンファメーション(承認)に必要な時間がほぼ即時であるため、ビジネスユースにおける実用性も高い。

 

ODL(オンデマンド流動性)

RippleNet(リップルネット)の中核機能であるODL(On-Demand Liquidity)は、XRPを用いた通貨のリアルタイム変換と送金処理を可能にする革新的な仕組みである。

従来の国際送金では、送金元と送金先にそれぞれ「ノストロ口座」を保持し、あらかじめ送金先の通貨をプールしておく必要があった。これはコスト面でも非効率であり、為替変動リスクを抱える要因ともなっていた。

ODLを使えば、以下のような流れで送金が実行される。

 

  • 送金元通貨(例:日本円)をXRPに即時変換
  • XRPが数秒で受取国に送信される
  • 受取国で必要な通貨(例:フィリピンペソ)に即座に変換して着金

このプロセスにより、ノストロ口座が不要になるだけでなく、即時決済・低コスト・透明性の高い国際送金が実現する。2025年時点でODLは、すでに40ヵ国以上で稼働しており、フィリピン、メキシコ、インドなど新興市場における送金インフラとして存在感を高めている。

また、リップル社はODLにおける流動性供給を強化するために、第三者マーケットメーカーや暗号資産(仮想通貨)取引所と連携し、より安定した送金環境の構築を進めている。これにより、金融機関にとっても導入ハードルが低くなりつつある。

XRPの今後の価格予測

XRPの現在価格

XRP 3
XRPの直近1年間の推移

現在価格:323.62円

2025年6月4日時点(CoinMarketCap「XRP価格・チャート・時価総額」

2025年6月現在、XRPはおおむね2ドル台前半で安定推移しており、SECとの訴訟が終結した2024年以降、明確な回復基調を見せている。市場では「法的リスクの解消」と「実需の拡大」が評価され、かつての不透明感に比べてポジティブなセンチメントが強まりつつある。

今後の価格上昇を後押しする要因 

今後、XRPの価格上昇につながる可能性がある主な要因は以下の通りだ。

  • 国際送金市場での採用拡大

    リップル社のパートナー金融機関は増加傾向にあり、ODL(オンデマンド流動性)の活用事例も拡大中。送金速度や手数料の優位性が評価されている。

  • CBDC関連プロジェクトの進展

    いくつかの国でXRP Ledgerを基盤とするCBDCパイロットプログラムが進行しており、中央銀行との連携が投資家の信頼を支えている。

  • 米国政府のスタンス変化

    SECとの訴訟終結後、米国内でもXRPが再び主要取引所に上場されており、規制環境の安定が投資資金の流入を促進している。

  • 米国でのETF承認に向けた期待

    2025年に入り、複数の資産運用会社がXRP現物ETFの申請を提出しており、ビットコイン現物ETFの先例にならう形で、XRPにも承認が下りるのではないかとの見方が強まっている。ETFが承認されれば、機関投資家による資金流入が加速し、XRPの市場価値を押し上げる起爆剤となる可能性が高い。

  • 戦略的暗号資産(仮想通貨)としての注目

    2025年には、米国の「戦略的暗号資産(仮想通貨)リスト」にXRPが含まれたとの報道があり、中長期的な価値保全資産としての期待も高まっている。

SECとの訴訟問題とその影響

XRP 4

SECによる訴訟の背景

2020年12月、SEC(米証券取引委員会)はリップル社及び同社幹部に対し、「XRPは未登録の証券であり、その販売は証券法違反にあたる」として提訴した。

SECは、リップル社がXRPを通じて約13億ドルを調達したことを問題視し、販売過程で投資家に対し「将来の価格上昇を期待させるような説明を行った」点を、投資契約に該当する証券取引とみなした。

リップル社の反論と市場への影響

リップル社はSECの訴えに対し、「XRPは分散的に流通する通貨であり、証券には該当しない」と強く反論した。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)と同様に、特定の発行体による保証がないことを強調し、SECの見解は現代のブロックチェーン技術に適合しないと批判した。

また、SECが明確なルールやガイドラインを示さないまま訴訟に踏み切った点についても、リップル社は市場の混乱と不安定化を招く不当な措置であるとして抗議した。

この訴訟の影響で、XRPは米国の複数の暗号資産(仮想通貨)取引所から一時的に上場廃止・取り扱い停止となり、価格も大きく下落。さらにほかの暗号資産(仮想通貨)にも規制が及ぶ可能性があるとの見方が広がり、業界全体に規制リスクへの警戒感が高まる結果となった。

 

リップル社とSECの法廷闘争の行方

2020年末に始まったリップル社とSECの法廷闘争は、2025年3月にSECが控訴を正式に取り下げる意向を示したことで、終結を迎える運びとなった。これにより、リップル社とSECの間で最終的な和解が成立し、リップル社が5000万ドルの罰金を支払うことで法廷闘争の幕は閉じようとしている。

この結末は、リップル社にとって大きな転機であると同時に、暗号資産(仮想通貨)業界全体にとっても、規制と成長の両立を模索する次のフェーズへの入り口となった。

リップル社の今後の戦略と注目動向

XRP 5

グローバル市場への拡大戦略

リップル社は、アジア・中東・ラテンアメリカなど、国際送金ニーズの高い新興市場への進出を強化している。

 

特筆すべき動き

  • フィリピンでの送金パートナー拡大
  • アラブ首長国連邦におけるRippleNet(リップルネット)導入拡大

 

CBDC(中央銀行デジタル通貨)への関与

リップル社は複数の国とCBDC実証実験を進めている。特に、ブータン王国、パラオ共和国、モンテネグロ政府などと提携し、ブロックチェーン技術を通じた国家のデジタルインフラ構築に貢献している。

暗号資産投資におけるリスクとXRPの留意点

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これらのポジティブな材料を背景に、XRPは中長期的に上昇余地を持つとみられるが、一方で市場のボラティリティや規制方針の変化には引き続き注意が必要である。特にXRPは、過去にSECとの訴訟による価格急落や市場混乱を経験しており、規制当局との関係性が投資判断に大きく影響する銘柄であることは忘れてはならない。

また、国際送金やCBDCといったユースケースの拡大は将来的な成長を支える要素ではあるが、実需と価格が必ずしも連動するとは限らない。市場のセンチメントやマクロ経済環境、ほかの暗号資産(仮想通貨)の動向にも大きく左右されるため、長期的な視野とリスク管理が必要不可欠である。

大前提として、XRPに限らず暗号資産(仮想通貨)の多くはボラティリティが高いため、価格の急変動には注意が必要だ。

まとめ

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リップル社とXRPは、単なる暗号資産(仮想通貨)プロジェクトにとどまらず、国際金融の課題を次世代技術で解決する現実的なソリューションとして進化を続けている。RippleNet(リップルネット)やODLを通じたクロスボーダー送金の効率化、CBDC開発への技術提供、そして高いエネルギー効率を持つXRP Ledger(XRPL)の活用など、その実用性は年々強まっている。 

また2025年現在、リップル社は法的リスクから解放され、再び米国内外の事業展開を加速させている。XRPも、国際送金・制度金融・環境負荷対策といった社会的ニーズに根差したユースケースを背景に、投資対象としての注目を取り戻しつつある。

加えて、米国においては現物ETF申請や戦略的暗号資産(仮想通貨)のリスト入りといった進展も、今後の価格や市場認知に好影響を与えると考えられる。

リップル社及びXRPにはポジティブな要素が増えつつある一方、暗号資産(仮想通貨)は価格変動が激しいため、リスクも考慮した運用を心がける必要がある。

画像:Shutterstock


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