トロン(TRX)とは?特徴・将来性・今後の展望を徹底解説【2025年最新版】

2025/10/02 16:51
Iolite 編集部
文:Iolite編集部
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トロン(TRX)とは?特徴・将来性・今後の展望を徹底解説【2025年最新版】

TRX(トロン)が注目される理由とは?

2025年現在、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)といった主要銘柄が注目される一方で、実用性と高速性を武器に存在感を強めているのが「トロン(TRX:Tron)」である。トロン(TRX)は、動画やゲーム、決済など、あらゆる分野に応用可能なブロックチェーン「TRON」のネイティブトークンであり、その取引量とトランザクション数は、ほかの主要チェーンと比較しても引けを取らないボリュームを誇る。

特にTRONのブロックチェーンで発行される「TRC-20規格」のトークンに関連して需要を集めている。代表例としては、TRC-20規格にも準拠している時価総額トップのステーブルコイン・テザー(USDT)による送金用途があげられ、手数料ゼロに近いトランザクションコストの低さは、アジア圏を中心に多くのユーザーから支持されている。

このように、トロン(TRX)は単なる投機対象ではなく技術的な観点でも需要を集めており、そしてトロン(TRX)自体の経済圏を拡大させていることから、「日常使いできる暗号資産(仮想通貨)」として確かな立ち位置を築きつつある。

トロン(TRX)とは?基本情報とプロジェクトの歴史

TRX 1

トロン(TRX)は2017年にジャスティン・サン(Justin Sun)氏によって立ち上げられたプロジェクトである。サン氏はかつてリップル(Ripple)の中国代表でもあり、若くして中国・アジア圏の暗号資産(仮想通貨)業界で名を馳せた人物として知られる。

当初のトロン(TRX)はイーサリアム(Ethereum)のブロックチェーン上で発行されるERC-20規格のトークンとして設計されていたが、2018年に独自チェーンへと移行。その際に導入されたのがトロン(TRX)であり、TRONのネイティブトークンとして位置付けられている。

イーサリアム(Ethereum)との相違点

  • イーサリアム(Ethereum):dApps(分散型アプリケーション)の基盤としてだけでなくDeFi(分散型金融)分野での活用も活発。しかし、トランザクション数の増加などによりネットワークが混雑するだけでなく、ガス代(取引手数料)も高くなりつつある。
  • トロン(TRX):トランザクションの高速処理だけでなく、ほぼゼロに近い安価な手数料が特徴。マスユーザー向けの利用を志向。

また、2018年にはBitTorrent(ビットトレント)社を買収し、分散型コンテンツ配信領域への進出を図ったことで注目を集めた。

トロン(TRX)のネットワーク構造と技術的特徴

TRX 2

トロン(TRX)のネットワークは、DPoS(Delegated Proof of Stake)=委任型PoSというコンセンサスアルゴリズムを採用しており、27人のスーパーノード(スーパー代表)がブロック生成と承認を担っている。これにより、以下の特徴が実現している。

高速・高スループット処理

  • 1秒あたり2,000件以上のトランザクション処理が可能、
  • イーサリアムの約10〜20倍の処理能力を持つ。

低コスト(手数料ほぼゼロ)

  • 一定量のトロン(TRX)を「フリーズ」すれば、トランザクション時の手数料が一部軽減される。
  • トロン(TRX)のブロックチェーン上で発行されたテザー(USDT)やNFT(非代替性トークン)のトランザクション手数料も安価であるため、日常使いに適している。

トークン規格

  • TRC-10:シンプルな設計のトークン。TRC-20と比較して取引手数料が1000分の1と非常に安価
  • TRC-20:スマートコントラクトに対応。テザー(USDT)やDeFi(分散型金融)で取引可能なトークン規格として多く使われている

特にTRC-20に対応したテザー(USDT)は送金用途に優れており、流通量の多くをトロン(TRX)のネットワーク上で発行されたテザー(USDT)が占めているという統計もある。

トロン(TRX)の主な用途とエコシステム

TRX 3

トロン(TRX)はTRONネットワーク内での「燃料」のような役割を担っており、以下のような用途がある。

手数料支払い・ステーキング

  • TRXを「フリーズ」すると、エネルギー(Energy)と帯域(Bandwidth)が付与され、取引手数料を軽減できる。
  • フリーズ状態では投票権(TRONパワー)が付与され、ネットワークガバナンスに参加できる。

dApps(分散型アプリ)・ゲーム・DeFi(分散型金融)での利用

トロン(TRX)のネットワーク上には以下のようなdApps(分散型アプリ)が構築されている。

  • JustLend:レンディングプラットフォーム
  • SUN.io:スワップ&流動性供給
  • WINkLink:分散型予測市場&オラクルサービス
  • ApeNFT、TpunksなどのNFTマーケット

特にテザー(USDT)を使った低コストなスワップや送金の需要が高く、DeFi(分散型金融)分野でも一定の存在感を示している。

TronLinkウォレットとの連携

  • TRON系dApps(分散型アプリ)を使用する際は、TronLinkウォレットとの連携が推奨される
  • ブラウザ拡張/モバイルアプリがあり、MetaMaskのTRON版ともいえる存在

トロン(TRX)の価格動向と市場での評価

TRX 4
トロン(TRX)の過去1年間のチャート(CoinMarketCapより引用)

現在価格:51円

2025年8月20日時点(CoinMarketCap「トロン(TRX)価格・チャート・時価総額」

トロン(TRX)は2018年の独自チェーンローンチ以降、数度にわたり価格上昇と調整を繰り返してきた。

過去から現在の価格推移

  • 2018年:0.03〜0.10ドル台で推移
  • 2021年:暗号資産(仮想通貨)バブルで0.16ドル付近まで上昇
  • 2023年:FUDを背景に下落も、テザー(USDT)の流通増で価格安定
  • 2025年:0.11〜0.13ドル台で安定推移(2025年7月時点)

価格の爆発力は小さいが、安定的な需要(送金・手数料支払い)があるため、中長期保有銘柄として注目されている。

上場取引所と流動性

トロン(TRX)は以下のような主要グローバル取引所に上場済みであり、取引流動性も高い。

  • Binance
  • OKX
  • KuCoin
  • Bybit
  • Bitgetなど

また、トロン(TRX)は下記の国内暗号資産(仮想通貨)取引所でも上場されている。

(リスト入れる※一旦このまま入れておいてください)


近年、トロン(TRX)の取り扱いが国内でも加速していることから、今後の日本展開にも期待が高まっている。

トロン(TRX)の将来性と課題

TRX 5

トロン(TRX)は「実用的な暗号資産」としての評価を獲得しつつあるが、以下のような課題も抱えている。

中央集権性への懸念

  • ジャスティン・サン氏の影響力が大きく、開発・マーケティングの意思決定が集中している点がしばしば批判される
  • スーパーノードの投票も一部が大口保有者に偏りがちで、完全な分散型とは言い難い構造が課題

Tron DAOへの移行

2022年以降、トロン(TRX)は「Tron DAO」による運営へと移行している。これは分散型自律組織による意思決定を目指すものであり、将来的にはよりオープンなネットワーク運営が期待されている。

相互運用性とエコシステム拡大

  • 他チェーンとのブリッジやクロスチェーンプロジェクトはまだ限定的
  • イーサリアム(Ethereum)やコスモス(Cosmos)、ポルカドット(Polkado)tといった拡張性の高いネットワークと比較すると閉鎖的

しかし一方で、安定性・コスト・トランザクション数という面では業界でも屈指の水準を維持しており、「使えるチェーン」として確実に定着している。

トロン(TRX)は実用性とスピードに優れた暗号資産の一角

TRX 6

TRX(トロン)は、ほかの主要レイヤー1チェーンと比較しても際立つ「低コスト×高速×実用性」を実現したブロックチェーンプロジェクトである。ステーブルコインの送金やDeFi(分散型金融)、NFT(非代替性トークン)活用といった現実的なユースケースをすでに確立しており、その成長は止まらない。

中央集権的な運営への懸念や、開発エコシステムの偏りといった課題も残るが、それを補って余りある実利性がトロン(TRX)の最大の魅力である。特に送金や日常決済における「トランザクションコストゼロ」のインパクトは大きく、Web3.0普及の重要なインフラになりうる存在である。

トロン(TRX)は、価格変動で一喜一憂するだけでなく、ブロックチェーン技術の「実用化」の最前線に立つプロジェクトとして、今後も動向を追っていくべきプロジェクトといえる。


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