「XDC Network(XDC)」とは?特徴・将来性・実用事例をわかりやすく解説

2025/10/02 15:39 (2025/10/02 15:39 更新)
Iolite 編集部
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「XDC Network(XDC)」とは?特徴・将来性・実用事例をわかりやすく解説

注目集まるエンタープライズ向けブロックチェーン「XDC Network(XDC)」

2025年現在、多くの暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーンプロジェクトが誕生するなかで、技術力だけでなく「実用性」を重視したプロジェクトが注目されている。そのなかで注目を集めつつあるのが、「XDC Network(XDC)」である。XDC Networkは、企業や政府レベルでの導入を見据えたエンタープライズ向けブロックチェーンとして設計されており、特に「貿易金融」の分野において高い評価を受けている。

イーサリアム(Ethereum:ETH)やソラナ(Solana:SOL)、ポリゴン(Polygon:POL)などの汎用的なスマートコントラクトプラットフォームと比較して、XDC Networ(XDC)は現実世界のビジネスインフラとの親和性、国際金融取引において標準とされるISO-20022規格との整合性、そして国際的な標準化にもとづいた設計が強みである。

本稿では、XDC Network(XDC)の基礎から技術特徴、活用事例、トークンエコノミー、将来性までを包括的に解説する。

XDC Network(XDC)とは何か?基本情報とプロジェクト概要

XDC Networ(XDC)は、シンガポールに拠点を置くXinFinが展開するブロックチェーンだ。XinFinは2017年に設立され、非営利団体である「XinFin Foundation」とともに開発とプロジェクトの普及を推進している。

プロジェクトの目的

XDC Networ(XDC)は、既存の中央集権的な金融システムと、分散型のブロックチェーン技術を橋渡しすることを目的として設計されている。貿易金融やエンタープライズ分野での業務効率化やコスト削減を掲げ、サプライチェーン全体をブロックチェーン化するインフラとして期待されている。

ネイティブトークン:XDC

XDC Network(XDC)上で発行されるXDCは、ガス代(取引手数料)の支払い、ステーキング、ネットワークのガバナンスなどに使用されるネイティブトークンである。イーサリアム(Ethereum:ETH)やソラナ(Solana:SOL)と同様の役割を持つ。

XDC Network(XDC)の技術的特徴と強み

XDC 1
SBI XDC Network APAC株式会社 公式ホームページより引用

XDC Network(XDC)のブロックチェーンは、貿易金融やエンタープライズ活用に最適化されたさまざまな設計思想が反映されている。

ハイブリッド型ブロックチェーン

XDC Networ(XDC)は、パブリックとプライベートの両機能を兼ね備えたハイブリッド構造を採用している。これにより、企業や政府機関が機密性の高い情報をプライベート環境で処理しつつ、必要に応じてパブリックチェーンと連携させることが可能となる。

EVM互換・高速処理・低ガス代

  • EVM(Ethereum Virtual Machine)互換:イーサリアム(Ethereum:ETH)ベースのスマートコントラクト実行やdApps(分散型アプリケーション)との連携が可能
  • スピードに優れた処理能力:2秒以内のファイナリティと2,000 TPS超の処理能力
  • 安価なガス代(取引手数料):平均して0.00001ドル程度

これらの要素により、XDC Networ(XDC)はdApps(分散型アプリケーション)開発者や企業にとって非常に魅力的なプラットフォームとなっている。

スマートコントラクトとdApps(分散型アプリケーション)対応

XDC Networ(XDC)はSolidity(ソリディティ)言語をサポートしており、DeFi(分散型金融)、NFT(非代替性トークン)、ブロックチェーンゲームなどのdApps(分散型アプリケーション)開発にも適している。既存のWeb3.0技術との互換性が高く、APIやSDKも充実している。

XDC Network(XDC)の主なユースケースと実用事例

XDC 2

XDC Networ(XDC)は単なる理論上の技術ではなく、すでに複数の実用事例が存在する。

貿易金融領域

貿易金融とは、国際貿易における信用供与や債権保証、ファクタリングなどの仕組みを指す。XDC Networ(XDC)はこれをブロックチェーン化し、書類のデジタル化、トレーサビリティ、支払いの自動化などを可能にしている。

代表的な導入例:

  • Tradefinex:貿易金融向けのdAppsを構築するためのXDCエコシステム
  • TURANTPay、Globiance:国際決済ネットワークとの連携実績

ISO-20022との整合性

XDC Network(XDC)は、国際金融取引の標準基準である「ISO-20022」に準拠している数少ないブロックチェーンの1つである。これにより、既存のSWIFTや銀行インフラとの接続性が高く、金融機関にとって採用しやすい設計となっている。

XDCトークンの経済圏とステーキング

XDC 3
SBI XDC Network APAC株式会社 公式ホームページより引用


XDCトークンは、ネットワーク内でのあらゆる活動に使用される中核的存在であり、その経済圏は日々拡大している。

トークン供給と価格動向

  • 総供給量:約380億XDC(2025年8月時点)
  • 流通量:約162億XDC(2025年8月時点)
  • 上場取引所:Bybit、Bitget、Gate.ioなど

価格は2021年に急騰した後、調整局面に入ったが、2025年に入り再び上昇。2025年1月には日本円ベースで最高値を更新している。

ステーキングとノード運用

XDC Network(XDC)ではノード運用者がネットワーク維持に参加し、報酬としてXDCトークンを受け取ることができる。ステーキング参加者も一定の年利を得ることが可能で、暗号資産(仮想通貨)運用の選択肢として注目されている。

ウォレットと対応ツール

  • XDCpay:公式ウォレットブラウザ拡張機能
  • Ledger、Dcent:ハードウェアウォレット対応
  • MetaMask:ネットワーク追加で利用可能(EVM互換)

XDC Network(XDC)の将来性と懸念点

XDC 4

XDC Network(XDC)は実需に特化した数少ないプロジェクトであり、エンタープライズ市場を重視する投資家から高い評価を得ている。しかし、競争や規制面での課題も無視できない。

他レイヤー1ブロックチェーンとの競争

  • ポリゴン(Polygon:POL):スケーラビリティ重視
  • ステラ(Stellar:XLM):国際送金特化
  • XRP Ledger(エックスアールピーレジャー):金融機関向け

これらの競合と差別化するには、実績あるユースケースと継続的な企業導入がカギとなる。

規制と採用スピード

ブロックチェーンの金融活用には各国の規制対応が不可欠である。ISO準拠の優位性が活かされるかは、各国における今後の政策動向次第である。

XDC Network(XDC)は「実需」と「国際基準」にもとづくプロジェクト

XDC 5

XDC Network(XDC)は、単なるトークン価格上昇を狙う投機型プロジェクトとは異なり、明確な社会課題の解決を目指して構築されたブロックチェーンである。特に貿易金融という巨額の市場規模である領域において、ISO-20022という国際基準に準拠している点を武器に、着実に実績を重ねつつある。

技術的完成度、運用実績、セキュリティ、エコシステムの成熟度などを総合的に見た時、XDC Network(XDC)は長期的にインフラ型の価値を持つ銘柄として注目すべき存在である。


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