マネックス証券で暗号資産アナリストを務める松嶋真倫 a.k.a まりんです。今回もビットコイン相場の振り返りと今後の相場展望について解説します。
出所:Coinmarketcap、YahooFinanceよりマネックス証券作成 ▶︎2024年10月の騰落率(10月25日時点)
ビットコイン相場:10月振り返りと今後の相場展望 2024年10月のビットコインは、米国大統領選挙を巡り予測市場でトランプ氏が優位に立つと、トランプラリー再来への期待で堅調なスタートとなりました。一方、イスラエルとイランの軍事的緊張が高まり、リスクオフの流れが強まったことでビットコインの上値は抑えられました。さらに、米国の当局者発言やFOMC議事要旨により、大幅な追加利下げの可能性が低下したことが、相場に冷ややかな影響を与えました。
その後、中国の国慶節明けに株式市場が乱高下し、ビットコインは一時BTC=900万円を割り込みました。しかし、中国政府が大規模な景気刺激策の方針を発表すると、買い戻しが強まり、緩和マネーの流入への期待で急上昇。また、ECBが2会合連続で利下げを決定し、世界的な利下げが意識されるなか、ビットコインは価格を伸ばしました。さらに、米国ではビットコイン現物ETFへの資金流入が回復し、ビットコインはBTC=1,020万円付近まで上昇しました。
今後の見通し 今後のビットコインは、米国大統領選挙でトランプ氏が勝利し、FOMCが追加利下げを行った場合、上昇が加速すると予想します。さらに、米国議会選挙でトリプルレッド(大統領・上下院ともに共和党支配)になれば、政策実現のしやすさから買いの勢いが強まり、年末にかけて半減期アノマリーが再度注目されるでしょう。
一方、米雇用統計など経済指標が引き続き強ければ、利下げ観測が後退し、リスク資産全般に売り圧力がかかる可能性があります。また、イスラエルとイランの対立が激化した場合、中東リスクが不安材料となり、ビットコインの上昇相場が妨げられる恐れもあります。米ドル建てでBTC=10万ドルの節目が意識されますが、過熱後の急落には警戒が必要です。
まりんの注目銘柄:ドージコイン(DOGE) 今回は、イーロン・マスク氏が支持するミームコインとして有名なドージコイン(DOGE)について紹介します。ドージコインは、インターネットミームである柴犬の「ドージ」をシンボルとした暗号資産です。ビットコインやイーサリアムのような複雑な技術や経済的な背景は持ちませんが、ドージを愛する強力なコミュニティによって価値が支えられています。
ドージコインは2021年にイーロン・マスク氏の発言で注目を集めました。同氏はSNSを通じてドージコインに言及し、その度に価格が大きく動きました。特に2021年5月、米国の人気番組「Saturday Night Live」でマスク氏がドージコインについて発言した際、価格は乱高下しています。最近では、トランプ氏の勝利時に政府効率化局「Department Of Government Efficiency(DOGE)」を創設することを示唆し、それに伴いドージコインの価格が再び高騰しています。
トランプ氏が再び大統領になった場合、イーロン・マスク氏のドージコインに関する発言も増えることが予想されます。それによってボラティリティが高まるリスクはありますが、米国が暗号資産を推進する方向に進むなか、ドージコインの人気が再燃する可能性があります。
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