一方で、AIが内部構造を最適化する事例はすでに出ている。Google DeepMindのAlphaDevは、従来の常識より高速なアルゴリズムを発見し、実際のソフトウェアに採用された。人間より効率的な内部設計をAIがみつける時代は始まっている。
ここで重要なのは透明性である。もし途中の設計がみえなくなり、最終結果だけが残る世界になれば、私たちはその安全性をどう確認するのか。改ざんはないのか。責任の所在はどこか。
技術が高度化するほど、「信頼の証明」はより重くなる。食品に産地表示が必要なように、ソフトウェアにも履歴や出所を示す仕組みが求められる。
仕事は消えるのかという問いもある。国際労働機関(ILO)は、AIは仕事を奪うというより、補助する可能性が高いとみている。重要になるのは、「何を作るべきかを定義する力」と「説明し、証明する力」である。
厳密にいえば、コーディングは“死ぬ”のではなく、役割が変わる。書く作業から、保証する作業へ。実装する技術から、責任を持つ技術へと重心が移る。ブロックチェーン技術の出番もありそうだ。
マスク氏は最後に、「制限がなければ何を生み出すか」と問いかけた。実装コストが限りなくさがるなら、残るのは人間の意思である。AIが魔法の杖になるほど、言い訳はできなくなる。コーディングが消える日が来るとすれば、それは創造の責任が完全に人間へ戻る日とも捉えることができそうだ。

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