イラン最高安全保障委員会のモフセン・レザイ事務局長は、米メディアDrop Site Newsが米国時間21日に公開した書面インタビューで、戦争が再開すれば「ケーブル、データセンター、AI(人工知能)施設も射程に入りうる」と述べた。今月23日には中東情勢の緊迫を受けて原油価格が上昇し、ブレント原油先物は4月29日以来の高値で取引を終えた。
レザイ氏はインタビューで、「米国はこの地域に価値ある資産を持っている。戦争になれば、ケーブル、データセンター、AI施設も射程に入りうる。衝突が再び始まれば、我々はより広範な計画を持っている」と語った。発言は条件付きで、国名や企業名、施設名は挙げていない。
エネルギー施設については、「地域経済に打撃を与えるために民間のエネルギーインフラを攻撃する方針はない」とした。その上で、米国が近隣国のエネルギーインフラを使ってホルムズ海峡の影響を補い、対イラン封鎖を続けるなら、それらの国の政府は「危険を冒さずにイランへの経済戦争に加われると考えるべきではない」と警告した。
イランでは、ほかの要人からも同様の発言が相次いでいる。モハンマド・バゲル・ガリバフ国会議長は今月18日、Xで域内の政府や投資ファンド、企業に対し、侵攻や子どもの殺害に加担するAI・データ企業に「資金も出資も、土地もエネルギーも提供するな」と呼びかけた。革命防衛隊のホセイン・モヘビ報道官は今月19日、ホルムズ海峡の下を大型のインターネットケーブル7本が通っていると述べている。
ICEブレント原油先物(12月限)は今月23日、前日比3.55ドル(3.14%)高の1バレル116.72ドルで引けた。終値としては4月29日以来の高値で、週間では約6%上がり、3週連続の上昇となった。WTI(米国産標準油種)原油先物(12月限)も3.80ドル(3.8%)高の103.27ドルだった。
原油高の背景には、湾岸での攻撃の増加がある。今月21日夜には、サウジアラビア東部ダンマームのキング・ファハド国際空港が攻撃を受け、2人が死亡した。イランが支援するイエメンの武装組織フーシ派が攻撃したと表明している。ロイターによると、Saudi Aramcoは今月22日、東部ダーランの本社の従業員に退避と在宅勤務を指示した。
米国務省は今月21日、サウジアラビアに限り、緊急性のない政府職員とその家族に国外退避を命じた。ドナルド・トランプ米大統領は今月22日、Truth Socialで「イランは米中間選挙の前に原油価格を押し上げようと、あらゆる手を尽くしている」と投稿した。ホワイトハウスは中間選挙前のイラン攻撃を否定しているが、ニューヨーク・タイムズは、米国とイスラエルが中間選挙後の攻撃計画を策定したと報じている。
湾岸のデータセンターは、2026年に入ってすでに被害を受けている。Amazon Web Services(AWS)は、3月1日にUAEの施設2ヵ所が直撃を受け、バーレーンでも施設の近くへのドローン攻撃で設備に影響が出たと公表した。
また、イラン革命防衛隊は3月31日、UAEのAI企業G42や、Nvidia、Oracle、Microsoftなど18社を「正当な標的」とする声明を出していた。
ロイターは9月、UAEが1GW・300億ドル規模の第1期「Stargate UAE」を含む5GWのAIデータセンター計画について、拠点の分散化や防空体制の強化などを検討していると報じた。プロジェクトを主導するG42は、作業は予定どおり進んでいるとしている。
一方、米国内ではトランプ大統領が今月21日、新設の大規模データセンターに電力の自給を求める考えを示した。AIデータセンターの立地を巡っては、米国では電力の確保が、湾岸では安全保障が課題となっている格好だ。
なお、金融市場では今月22日、AI投資への懐疑から米国のハイテク株が売られた。Goldman Sachsによると、同社が追跡するヘッジファンドの主要3戦略が、コロナ禍以来初めてそろって1%超下落した。同日、米国のビットコイン現物ETFからは約6.36億ドルが純流出し、ビットコインは一時81,000ドル台まで下落した。
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