SpaceX(スペースX)は米国時間20日、2026年7〜9月期の決算を発表した。AI事業の売上高がStarlink(スターリンク)を中心とする通信事業を上回り、上場後初の四半期黒字となった。
売上高は前年同期比161%増の約145.8億ドルで、LSEG(ロンドン証券取引所グループ)集計の市場予想127.2億ドルを上回った。営業利益は27.91億ドル、純利益は44.04億ドル(前年同期は10.54億ドルの赤字)で、希薄化後の1株利益は0.35ドルだった。
純利益が営業利益を上回ったのは、受取利息8.73億ドルとその他収益10.25億ドルに加え、法人税の還付3.90億ドルを計上したためだ。また、SpaceXが計上するデジタル資産は9月末時点で15.73億ドルとなり、6月末の10.98億ドルから約4.75億ドル増えた。決算リリースは、保有する暗号資産の銘柄や数量、評価額の変動がその他収益に含まれるかどうかを明らかにしていない。
AI事業は今期から、セグメント名を「Artificial Intelligence(AI)」から「Super Intelligence(SI)」に改めた。SIの売上高は前年同期比830%増、前四半期比195%増の75.6億ドルだった。セグメント営業利益は4.31億ドルと黒字に転じ、Cursor(カーソル)の買収に関連する株式報酬12.17億ドルを除くと16.48億ドルになる。
SIには、計算資源の提供、AIモデル「Grok」、広告収入、8月14日に買収を完了したAIコーディングツールのCursorなどが含まれる。SpaceXは2026年2月にxAI(エックスエーアイ)を買収しており、計算資源の提供ではAnthropicやGoogleと契約を結んでいる。Cursorの売上寄与は、買収完了から9月30日までで6.08億ドルだった。
SpaceX CFOのブレット・ジョンセン氏は発表で、「売上高は前年同期比161%増と力強く伸びた。通信事業の勢いが続いたことに加え、Super Intelligence事業が明確な転換点を迎えたことが牽引した」とコメントした。CEOのイーロン・マスク氏は決算説明会で、「率直に言って、すべてのハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)と数十社の小規模企業から、計算資源をもっと貸してほしいと絶えず求められている」と語った。
SIの売上高は全社の半分を超え、前年同期の約7分の1から大きく比率を高めた。成長を支えるのは、外部企業への計算資源の提供だ。SECへの提出書類によると、Googleとの契約では2026年10月から2029年6月まで毎月9.2億ドルが支払われ、その開始は今回の決算期間の後にあたる。
一方、利益の大半はなおStarlinkが稼いでいる。全社の営業利益の約85%を通信事業が占め、SIの営業利益率は5.7%にとどまった。SIの利益を押し下げているのはCursorの買収に伴う株式報酬で、SpaceXはその総額を234億ドルとしている。
Starlinkの消費者向け契約者数は13,600,000に達した。SpaceX社長兼COOのグウィン・ショットウェル氏は決算説明会で、モバイル通信サービス「Starlink Mobile」の月間利用者が前四半期比37%増の22,000,000超になったと説明した。SpaceXは今月8日、Grain Managementから800MHz帯の周波数免許を取得することでも合意しており、2027年上半期の完了を見込む。
SIの設備投資は164.44億ドルで、全社の設備投資195.93億ドルの約84%を占めた。ジョンセン氏は決算説明会で、「現在の価格水準では、新たに導入した計算資源は1年未満で投資を回収できている」と述べた。同氏は、2026年10〜12月期の設備投資を350億〜400億ドルと見込んでいる。
1〜9月の営業キャッシュフローは130.97億ドルで、同期間の設備投資480.69億ドルを差し引くと約350億ドルの支出超過となる。9月末時点の現金及び現金同等物は512.94億ドルで、市場性有価証券と合わせると約898.6億ドルだった。
SpaceXの株価は20日の通常取引を147.79ドルで終え、決算発表後の時間外取引では一時6%超上昇した。終値は、IPO(新規株式公開)の公開価格135ドルを約9.5%上回る水準だ。また、2026年10月22日(木)にはIPO時のロックアップ(売却制限)の一部が解除され、最大1,300,000,000株が売却可能になると報じられている。
なお、マスク氏は今月19日、自身が保有するSpaceX株を2027年に米国のすべての子供へ1株ずつ贈るとXで表明していた。決算リリースと決算説明会では、この件への言及は確認できなかった。
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