「誕生日おめでとう!元気にしてる?」先日、学生時代の友人から連絡があった。2.3年に1度くらいの頻度でしか会わないが、親友という言葉が適した大切な存在だ。学生時代は何かの縁で野球部の主将を任され、当時彼は副部長であった——
私とは違って、彼は生徒会長も務めるような優秀な人間だった。野球部がない学校に野球部を創部し、野球ができる環境が何もないなかで、活動を成立させる苦労を共にした大切な存在。
身体を大きくするために、2合の米を弁当箱に詰めて、おかずはまた別の弁当箱で持っていった。練習は学校からちょうど5km離れたところまでランニング。
往復で10kmの道のりを毎日彼と競争していた。今思えば、創部は誰しもが経験できることではなく、大きな達成感もあった。
正しくは“苦楽”を共にしたパートナーという方が正しいのかもしれない。未だに覚えているのは、よく本を読む人間だったということと、被災地支援等にも積極的に参加していたこと。
当時から良きライバルでありながら、学ぶことが多かった。
彼と食事をしながら他愛もない会話をした後、帰り際に私が目にしてふと思ったことを話したら思いのほか盛りあがった。ある日、電車に乗り遅れそうな男性がエスカレーターを駆け上っていた。
発車のメロディが鳴り止む頃に男性はホームに到着して、「間に合った」とほっと肩を撫でおろし、歩きながら電車に乗ろうとすると電車のドアは彼の目の前で閉まった。
電車に乗れなかった彼は、物凄く長い間走り続けていたかもしれない。それなのに何故、電車を目の前に安心して一息ついてしまったのだろうか。
なぜ最後の最後まで、諦めずに駆け抜けなかったのだろう。
もしも、彼が乗ろうとしていた電車に、乗らなければならない本当に大切な理由があったなら結果は変わっていたのではないだろうか。
思考は巡り巡って、電車に乗り遅れただけの出来事を、面倒くさく切り取ってしまっている自覚はあるが付き合ってほしい。
学生時代苦楽を共にした彼は現在、商社に務めた後にNPO法人の職員になっている。ブロックチェーン技術やVR/XR等の次世代技術が、社会福祉や社会貢献、支援に活用されていることを知っていて、お互い今の環境で成長した後に、社会に貢献に関する仕事を一緒にできたら嬉しい、と酒を酌み交わした。
学生時代から、社会貢献に関心持ち最も自分が熱を注げることに向き合う彼は、近い将来叶えたいことを叶え続けられるのだろうと思う。もう既に叶えているのかもしれない。
今号でIolite(アイオライト)は1周年を迎えることができた。創部の経験は時を経て、創刊という形であたらしく貴重な経験をもたらしてくれた。
多くの方々にサポートしてもらって、定期刊行誌として発行を続けられたことに感謝し、改めてIoliteのチームを誇りに思う。
叶えたいことに対する行いにおいて、達成までの原動力になる“情熱”は奇跡を生む要素だと心の底から思っている。
今号でIolite(アイオライト)が1周年を迎えたことを振り返れば、叶えられたことの方が多い。情熱が行いに与える良い影響は、語らずともIoliteの軌跡をみれば私にとっては十分な証明になる。
情熱を傾けられるものをみつけて、彩のある人生を——
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